妖精の国
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途中で欄干に引っ掛かる。そのお陰で本来ならば海に落ちるところを引っ掛かる形で止まった。
だが、衝撃は止まってもダメージが止まるわけではないので彼は暫くその体勢のまま突っ立ち、数十秒してようやくふらりと顔を傾け無理な笑顔を張り付けぷるぷるする右手の親指を上げ
「……グッ智!」
その言葉と同時に矢が爆発した。
股間が爆発する人体というのを正純は初めて見た。
恐らく矢の先に爆発術式でも付けていたのだろうけど、まさか幾ら酷いボケを熱田がかましたからとはいえ
そ、そこまでやるとは……!
身内にする攻撃ではないと思う。
現にミトツダイラも口を横に広げている。つまり、これはやはり、何時もよりも酷い事なのだろう。
そして熱田は爆発の勢いで、結局欄干を超えて海に落ちて行った。
ドボンという音が非常に虚しく聞こえる。
まぁ、あの馬鹿なら流石に死にはしないだろうけどとは思うが。
そして周りの皆もいきなりの爆音に一瞬驚いたようだが、それをやっているのが熱田と浅間と知るとあっという間に作業ムードになっていった。
こいつら慣れ過ぎだろと思うが気にしちゃ負けだ。
そして残心を解いた浅間が今までの事など無かったみたいな笑顔を見せて
「ミト! 正純! 無事でしたか!?」
あ……そこまで戻るのか……。
こういう時の作法をまだ余り知らない自分なので、正純はミトツダイラに視線で振った。
するとミトツダイラが信じられないものを見るような目付きでこちらを見ていたが仕方がないじゃんかよー、と思い目を逸らす。
その後、数秒くらいミトツダイラは葛藤したが、ようやく決意をしたのか一歩前に出て作り笑顔を作って浅間と相対していた。
「あ、あの……智?」
「はい?」
ここで躊躇いない笑顔を浮かべるのが凄い。
その笑顔に一瞬圧倒されたのか、ミトツダイラも少し躊躇ったが躊躇っても無意味と思ったのか諦めたかのような溜息を吐いて再び話し始める。
「その……怒ってます?」
「何でですか?」
こりゃあ、マジ切れだな……と思った。
だから、浅間には聞こえないように小声で
「ミトツダイラ……何か、心当たりはあるか?」
「一杯あるにはあるんですけど……でも、その程度なら何時も智は通常ズドンで禊いでいるので……私の知るところにはないかもしれません……」
溜まり過ぎて一気に発散したんじゃないか、それと思うが浅間はそんな簡単に怒る様な人間じゃないからちょっと違うかなーと思う。
……まぁ、結論はとりあえずあの馬鹿が悪いの一点だけだろ。
なら理由についてとやかく言わなくてもいいかと思い話を切り替える。
「浅間一人か?」
「ええ……トーリ君が暴走しましたが、結果として海の藻屑になって
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