妖精の国
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そして両腕を翼のように左右に広げ歓迎の体勢。
そして決め手の笑顔と共に一言。
「さぁ」
さぁ
「智……俺の胸に───飛び込んでくるがいい!!」
神速の勢いで組み立てられた弓による矢が胸に飛び込んできた。
「ふぬぉう……!」
神速もかくやと思いたくなる轟音と共に発射された矢を今度こそ俺は躱そうとする。
甘ぇな智!
今までは確かに甘んじて受けていたが、離れて何となく思ったのだ。
つまり
受けに回っているだけでは智を甘やかすだけになっちまう……!
それでは駄目なのである。
そう、やはり甘やかすのはいけない。飴と鞭というのは言葉だけではなく実践してこその言葉なのである。
それ故に、心を鬼にして躱す。
躱す方法は簡単である。
横に一歩ずれればいいだけなのだから。
智は制裁の為と思い、俺の股間を狙い撃つ癖がある。無論、全部が全部というわけではないが統計的に股間を粉砕しようとする行為が多い。
そしてやはりこの射撃もそれである。
だがいけねえ……それじゃいけねえぜ……智!
股間は確かに男でも女でも急所ではある。
あんまり褒められる急所ではないが、確かに一撃必殺の効果的なクリティカルポイントである。されど股間など胴体と違って広くはないのだから射撃などでは躱されるのである。
しかも、矢は点の軌跡。そんなものは一歩ずれれば躱せれるのである。
故にそうした。
「───!」
何故か周りから物凄い驚きの声が響いたので、ちょっとだけ耳を澄ましてみると近くにいるネイトから
「そんな……副長が智のズドンを躱すだなんて……趣味だったから受けていたんじゃなかったんですの!?」
やかましい。
そういうのは全部トーリのキャラである。俺ではないのである俺では。俺のそう……強いて言うなら愛なのである。あいつはボケ。この違いは大きい。
そこまで考え、勝利を確信する。
ふっ、勝った! 勝ったぜ智! 何、心配するんじゃねえ……アフターケアはばっちしだ!
この後くるりと一回転して智の方に近づき惜しかったな、と言って頭を撫でれば完璧である。
自分のセンスに時々驚くが今日はそれの極みである。
これぞ最強の嗜み……!
誇っていたら横を通り過ぎるかと思っていた矢が何故かこっちに急カーブしてきた。
追尾術式付であった。
その場にいる全員が轟音を響かせた矢が直撃したのを見た。
何時も通りに、熱田の股間にメキリと何時も以上にめり込んでいるように見える矢が一瞬、体が耐えようとする動きと矢の突き進む動きが重なり零となり止まる。
だがそれも束の間。あっという間に矢の勢いに体が耐え切れずに吹っ飛ばされる。
かなりの勢いで吹っ飛ばされる熱田だが
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