第二十五話「ようは自殺志願者ですね、わかります」
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と立ち上がった。
「では、私たちはこれにて失礼する」
「また会いましょイッセーくん。神の加護があらんことを♪」
出口に向かっていく二人だが、唐突に立ち止まり振り返ったゼノヴィアさんはアーシアちゃんに視線を向けた。
「――もしやと思ったが『魔女』アーシア・アルジェントだな。『魔女』と謳われたキミがなぜ、そこにいるのかは問わない。だが、これだけは聞いておく」
ゼノヴィアさんの声に同じく振り返った紫藤さんは興味深げな視線をアーシアちゃんに送りました。突然話題に出されて驚き固まっているアーシアちゃんに鋭利な言葉が突き刺さる。
「かつては聖女と呼ばれた者が堕ちるまで堕ち、その先になにを見い出しているのか、興味深くはあるがどうでもいい話だ。アーシア・アルジェント……キミはまだ、我らが神を信じているか?」
「――はい。ずっと信じてきたのですから、それだけは捨てられません……」
「へえー。アーシアさんは悪魔になったくせに、まだ主のことを信じているのね。ちょっと意外だわ」
少しだけ驚いた顔でアーシアちゃんをマジマジと見つめる紫藤さん。その隣で顔色一つ変えずにゼノヴィアさんが口を開いた。
その口から冷淡な声が紡ぎ出される。
「……そうか。それならば、いますぐ私たちに斬られるがいい。今なら神の名の下に断罪しよう。たとえ罪深き者でも、神は救いの手を差し伸べて下さるはずだ」
「そうね、それはいい考えね! アーシアさんも唾棄すべき悪魔としてより神の使徒として死にたいでしょ?」
――っ! あまりの言い分に怒りを覚えるよりも絶句してしまった。
彼女たちは自分が何を言っているのか理解しているのだろうか――いえ、しているのでしょうね。だからこその発言。
これは、彼女たちの『善意』なのだわ。
激昂して立ち上がったイッセーくんがアーシアちゃんの前に立ち塞がる。
さながらナイトのように、アーシアちゃんをその背に守り、怒りに満ちた眼差しを目の前の『敵』に向けた。
「ふざけるな! なにが救いの手を差し伸べるだ、なにが神の使徒として死にたいだ! アーシアを『悪魔』だと罵り、救いの手を差し伸べなかったお前らを俺は許さないっ! アーシアの優しさを理解しなかった――理解しようとしなかったお前らは、みんな大バカ野郎だ! 友達になってくれない奴なんて、そんなの間違ってる!」
「……悪魔がなにを言うかと思えば。聖女に友達が必要か? 答えは否だ。分け隔てない慈悲と慈愛さえあればそれでいい。聖女とはそういうものだ。彼女は神への愛さえあれば生きていけたはずだ。それが叶わなかったことが、彼女に聖女の資格が無いなによりの証
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