第二十五話「ようは自殺志願者ですね、わかります」
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んて、失態どころの話じゃないわね。でも、確かに奪うとしたら堕天使くらいのものかしら……? 上の悪魔は聖剣に興味なんてないでしょうし」
「奪った連中は把握している。グリゴリの幹部、コカビエルだ」
「コカビエル……古の時代から生き多くの戦争を生き抜いてきた堕天使の幹部ね。聖書にも記された堕天使が相手だなんて、僥倖とはいえないわね」
コカビエル、父のバラキエルや総督のアザゼルと同じく古代の時代から生きる堕天使。思っていた以上の大物ですわね……。
「私たちの任務は聖剣の奪還。故にリアス・グレモリー、あなたに依頼――いえ要求する内容は、私たちと堕天使のエクスカリバーを巡る争いに、この街に救う悪魔が一切介入しないこと。つまりは、こちらの問題に首を突っ込むなってことね」
紫藤さんの話にリアスの眉が跳ね上がる。思わず私も難しい顔で目の前に座る、教会の者たちを見据えた。
「結構な言いぐさね。それは牽制かしら? 私たち悪魔がその堕天使と通じているかもしれないとでも思っているの? だとしたら、それはこのリアス・グレモリーに対する侮蔑ね」
「可能性を考慮してでの判断だ。それがそちらに対する侮蔑だと感じたのならそうなのだろう」
リアスの瞳に冷たい色が灯る。
「……私が魔王の妹だと知っているのはこれまでの会話から推測できるわ。それを踏まえた上で言わせてもらう。私たちは堕天使と関わるつもりは毛頭ない。グレモリーの名に懸けて、悪魔の顔に泥を塗ることは決してしないわっ!」
「それが聞けただけでも今回の会談に意味があったな。一応、この街にコカビエルはエクスカリバーを三本持ち込んでいると伝えておこう。この情報をどう活用しようとそれはそちらの自由だ」
「ありがとう、とでも言っておこうかしら。……正教会からの派遣は?」
「奴らは今回の話を蹴った。仮に私とイリナの奪還が失敗したと想定して、最後の一本を死守しようとの魂胆なのだろうさ」
肩を竦めて何気なく発現する言葉。それはつまり、彼女たちはこの戦いに命を掛けることを想定しているということ。
それがリアスも分かったのだろう。正気を窺うような目で訊いた。
「……貴女たち、死ぬ気? 相手は聖書にも記されている堕天使なのよ。いくら聖剣を持っていようと、二人だけで事に当たるだなんて自殺行為だわ」
「そうよ。なにを言うかと思えば、当然じゃない」
「もちろん、私もイリナも死ぬつもりなんて毛頭ない」
「やけに自信満々ね。なにか秘密兵器でもあるのかしら」
「さてな、それについては黙秘権を行使する」
一瞬の視線の拮抗。紫藤さんに視線を送ったゼノヴィアさんは頷き合う
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