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夢遊病の女
第一幕その十六
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第一幕その十六

「私はそんな。お義母さん」
「ええ、アミーナ」
 テレサだけは別だった。娘のところに駆け寄って彼女を抱き締める。そうやって周囲の目から彼女を覆って守ろうとするのであった。
「私はこんなことは」
「ええ、わかってるわ」
 彼女だけは信じているのだった。
「貴女はそんな娘じゃないわ」
「何故こんなことに」
「悪魔よ」
 彼女はこう娘に告げた。
「だから。貴女ではないわ」
「私が何をしたのでしょう」
 アミーナは母の手の中で泣きながら言う。二人は完全に母と娘であった。
「何故こんなことに」
「何もしていないこの娘が」
「誓って言えます」
 泣きながらも言うのであった。
「私は罪を犯してはいません」
「そうよ、それは間違い無いわ」
「しかしだ」
「現にこの娘はこの部屋にいるんだ」
「それはどうしてなんだ?」
 村人達はこう言って二人を責める。
「どうしてあの方のお部屋にだ」
「いるんだ?今こうして」
「説明がつかないぞ」
「何故なんだ」
 エルヴィーノはエルヴィーノで泣いていた。
「愛がこんな簡単に崩れ去ってしまうなんて」
「私を信じて!」
 アミーナはその彼に対して叫んだ。
「どうか、必ず」
「愛していた」
 エルヴィーノは言った。
「いや、今でもだ。それに」
 さらに言葉を続ける。
「信じていたい。けれど」
「あの誓いは偽りだったのだろうか」
 ここで言ったのはアレッシオだ。彼も村人達の中にいるのだ。
「まさか」
「そうだな。アミーナは素直で信心深く」
「心清らかだった」
「しかし今ここにいる」
「これはどうしてなんだ?」
「何故なんだ?」
「これから何を信じればいいのか?」
 アレッシオはこんなことも言って首を捻ってしまった。
「あの娘が偽りを言うとしたら」
「全くだ、そんなことはだ」
「有り得ない」
「その通りだ」
「仕方ない」
 ここでエルヴィーノが意を決した声で言った。
「僕は決めた」
「えっ!?エルヴィーノ」
「一体何を決めたんだい?」
「それは何をなんだい?」
「結婚はなしだ」
 こう言ったのである。
「もう結婚はなしだ」
「そんな・・・・・・」
 それを告げられていよいよ絶望した顔になるアミーナだった。
「私を信じてはくれないの?」
「信じたい」
 彼は顔を俯けさせて一人呟いた。
「だが。それももう」
「残酷な時・・・・・・」
 アミーナは義母の中でさらに項垂れてしまった。
「私の言うことをどうか」
「駄目だ」
 だがエルヴィーノは首を横に振るのだった。
「もう僕には」
「そんな・・・・・・」
「できはしない」
 こう言うのである。
「それはもう」
「アミーナ、気を落とさな
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