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夢遊病の女
第一幕その十六
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いで」
 テレサだけは彼女を抱き締めている。
「誤解はきっと晴れるわ」
「どうか神よ、御加護を」
「全ては終わったんだ」
 エルヴィーノも悲しい声で呟く。
「もうこれで」
「こんなことになるなんて・・・・・・」
「もう式は行われない」
「そしてあるのは」
「非難だけ」
 村人達も悲しい顔になってしまっていた。
「何故こんなことになったんだ?」
「この娘が」
「何故なんだ」
「誤解は必ず解けるわ」
「お義母さん・・・・・・・」
「だから。今は気を確かに」
 テレサだけはアミーナと共にあった。
「いいわね、絶対に」
「・・・・・・はい」
 しかしアミーナの心は沈んでしまった。何もかもがなくなってしまったのだ。
「幸福はなくなった」
「あるのは苦渋に満ちた思い出だけ」
 エルヴィーノとアミーナがそれぞれ言う。
「愛と誠実は消えてしまった」
「残っているのは悲しみと絶望だけ・・・・・・」
 それを噛み締めるしかなかった。最早二人にはその二つしか残されていなかったのだった。

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