§46 圧倒する力
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死合おうぞ!」
酒呑童子がその得物を振るい、背後のフェニックスが高く飛び立つ。
「天罰の時、来たれり」
不死鳥が、高く飛ぶ。巨大になりながら。刹那に満たない時の中で、牛魔王並の大きさに、変わる。そして、帯電する。遥か上空で羽ばたく不死鳥。彼の鳥の翼から、無数の焔と稲妻が地上めがけて落下する。
「貴様!」
義兄、義姉の消滅に斉天大聖が激昂する。フェニックスの無差別爆撃による傷も馬鹿にならない。しかもシャマシュの権能の影響下だからか、相手がダメージを負っても、こちらがダメージを負っても、こちらに同じ傷がつくられる。故に彼は特攻を選ぶ。光にも迫る速度で黎斗の死角へ、如意棒を力一杯叩きつける。だが、その程度で水羽黎斗は落とせない。
「汝程度に負けぬよ」
三本の如意棒を、一本の神槍で凌ぎ続ける。シャマシュの権能が再び発動した今、持久戦は斉天大聖達に不利だ。再生し無傷の黎斗に対し、斉天大聖は着々とその傷を増やしていく。たとえそれがかすり傷と呼べないようなチンケな傷でも、塵が積もればなんとやら、だ。
「……見境なし、だな」
アテナは引きつった顔でただそれだけを絞り出す。見上げた先には、巨大化した不死鳥が所狭しと災厄を撒き散らす姿。
「スクナビコナで巨大化、八雷神で落雷。マモンで鉄塊隕石、といったところか。鉄塊が熔解しているのは酒呑童子か?」
味方に当たることを一切合財考えていない戦法だ。ある程度範囲は絞っているのだろうが、狙いは非常に大味だ。黎斗の喚びだした神々にも直撃するが、直後に再生してしまう。結果、シャマシュの力たるインチキ裁判で相手に傷を負わせるだけだ。
「しかも死の領域が相手の命を蝕み続ける、か」
アテナは知らない。冥府顕現を喚びだした神々の力も使って発動させている、という事実を。これによって冥府の範囲と強度が激増していることを。
「流石お義兄様」
教主は知らない。喚びだした神々の冥府顕現により出現した亡者の合計数は地球の全人口にも匹敵する、ということを。
「やつの呪力は無尽蔵なのか?」
アレクは知らない。アーリマンの力で"山羊"を拝借し、それを共有する彼らにとってもはや呪力の量など気にする必要が無い、ということを。
「聞け、天よ、地よ、神を従える冥府の魔王よ!!」
正攻法では厳しい、と感じた斉天大聖は距離を取って倶利伽羅剣を取り出す。
「伊邪那美神は……」
かの猿神が言葉を紡ぎ、それに応じて剣の輝きが危険なものに変わっていく。だが。
「定義、剣。定義、剣。切断せよ」
黎斗の一声で焔が飛ぶ。
「な……」
「伊邪那美用の剣で迦具土は切れぬよ」
真っ二つに両断された剣と
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