§46 圧倒する力
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ンギヌスが淡く輝き始める。
「修復完了」
愛槍の一言は、戦場に響いた。傍にいないと気づかない程の音量だが、聞き漏らした者は誰もいない。それには理由が二つある。
一つ目の理由は単純だ。この場に集った存在は皆聴覚が鋭い。本気なら首都圏程度の広さ、どこかで小石が落ちても聞き取れるだろう程に。
二つ目の理由は更に明快だ。「この場でもっとも危険な存在」が彼だと悟ったからだ。無数の神々を率いる少年。彼から警戒を外すくらいなら、火薬庫の中で火遊びをした方がまだ安全だと。
「上々。――汝に我が意志を委ねる。よきに計らえ。託すは我が歴史」
青白い焔に囲まれた少年が謳う。彼の髪は白く長い。まるで枯れ果てたかのように。彼の身体は青白く細い。まるで生気を喪ったかのように。
「目には目を。歯には歯を。――裁きの日、皆は平等とならん」
黎斗の言葉を引き継いで、シャマシュが語る。彼の神の後ろで車輪が回る。空空空空音を立てて。
「いかん!」
危機を察して斉天大聖の分身が無数、太陽神を襲いにかかる。だが、それは致命的に遅かった。
「小童共が。失せろ」
巨大な鉄棒が、空間を凪いだ。神速の猿候達がまともな反応を出来ずに被弾、爆散していく。煙に紛れ顕現を果たしたのは、巨大な鬼王。
「京の鬼神か!!」
吐き捨てる真君の一撃は、彼に届かない。彼の身体に触れた瞬間、三尖刀は熔解し、ただの棒きれと成り果てる。
「久しぶりだな、若造」
赤ら顔にして巨躯なる鬼王は凶暴な笑みをその顔に浮かべ、高らかに叫ぶ。
「儂、と死合えやぁ!!」
「くっ…!!」
豪快な一撃は、真君を彼方先へ吹き飛ばす。当たれば神ですら間違いなく即死の一撃。そんなものを乱発するのは異常の一言だが、それを受けて即座に立ち上がる真君も異常だ。
「ふむ。流石は中華の英雄神よ」
満足そうな赤い鬼に、白い男が不満げに呟く。
「真面目にやれ、酒呑童子」
斉天大聖とカイムが打ち合う中で、黎斗から冷たい声の叱責がとぶ。
「儂は真面目よ。……しっかしお主、相変わらずコレ使うと人格が変わるのぅ」
呆れた様子の酒呑童子に、黎斗は薄く笑い返答する。
「何を。変わらぬよ、何も。主を意思ごと復元したのも主の想いを遂げるため」
「あー、まぁのぅ。儂を丸ごと帰還させてくれたのは有り難い。だが、なればこそ。儂の本領を」
真っ向勝負をしたいと主張する鬼に対し、黎斗の言葉はそっけない。
「だから、許す。だが闘争を愉しむな。そのような余裕は、もう無い」
黎斗の言葉に追従し。
「むぅ、まぁそんなワケだから適度に
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