第一幕その十四
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第一幕その十四
「私はこれで」
「もう貴方は私のもの。そして」
彼女はさらに言っていく。
「私は貴方のものよ」
「早く立ち去ろう」
彼は部屋を後にした。
「さもないとな。騒動の元だ」
「早く抱擁を。私達はそれで永遠に」
アミーナは夢の中で語っていた。そうして夢の中に完全に落ちていく。しかしその次の日の朝。村人達は宿屋の外に集まって。あれこれと話をしていた。
「それでは」
「そうだよな」
「いざ」
明るい顔で話している。
「あの方をお招きしてだ」
「起こさせてもらって」
「だが」
「だが?」
「どうしたんだい?」
皆ここで一人の言葉に反応した。
「何かあるのかい?」
「一体何が」
「いや、起こすのはどうかな」
その村人はこう他の皆に言うのであった。
「それは少し失礼じゃないかな」
「いいえ、それはないわよ」
「そうよ」
「そうそう」
だが他の村人達はそれを否定するのであった。
「別にね。あの人を招いて宴を開くんだし」
「お祝いさせてもらうんだから」
「それでどうして」
こう言い合うのである。
「失礼なんだい?」
「あの人の為なんだよ」
「だから別にね」
これが彼らの意見であった。
「早くお起こしして」
「楽しい宴にお招きしよう」
「もうワインは用意してあるわよ」
「チーズもソーセージも」
「ベーコンもパンもね」
質素だがそうでありながら確かなものがある。スイスの御馳走そのものだ。
「全部あるからね」
「それで楽しくなってもらいましょう」
「それじゃあ」
こうして宿屋の中に入る。だが部屋の中に入ってみるとであった。彼はいない。そのかわり床にそのままうつ伏せに寝ている白い服の女を見るだけであった。
「おられないな」
「ああ」
「それに」
「これは?」
皆まずは伯爵がいないことに首を傾げさせた。
そしてだった。その代わりに女がいるのを見て。余計にいぶかしむのであった。
「それにこの女は」
「何者だ?」
「どうしてここに」
そして今度はエルヴィーノがこの宿屋にやって来た。リーザとテレサも一緒である。
「だからね、エルヴィーノ」
「そんな筈がないよ」
「そうですよ」
彼だけでなくテレサもいぶかしむ顔でテレサに返している。
「アミーナがね。そんなね」
「そんな筈がありませんよ」
「私の言うことが信じられないなら」
リーザはここで強い顔になって述べた。
「見てみるといいわ」
「それをっていうんだね」
「そうよ。ここよ・・・・・・って」
村人達が宿屋の内外に集まってるのを見て今度は彼女がいぶかしむ顔になってしまった。
「何故皆がここに?」
「ああ、リーザ」
「戻って来たんだね」
「え、ええ」
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