第二十九話 神社の巫女その十三
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「今年もどうだか」
「今のところ調子がいいけれどね」
「で、先輩もやっぱり阪神ファンよね」
愛実は阪神のことで愚痴る天狗達に尋ねた。
「そうよね」
「うん、そうだよ。うわばみさんは中日ファンだけれどね」
「お嬢虎キチだよ」
「自分の血の色は黒と黄色だっていつも言ってるよ」
まさに阪神のカラーである。
「で、うちの棟梁も阪神ファンだよ」
「お嬢は正真正銘の虎キチだよ」
「じゃあ今日阪神勝ったから」
愛実はこのことから考えて述べた。
「機嫌いいかしら」
「機嫌よくても酒癖悪いよ」
このことは変わらないというのだ。
「それで何が出て来るかわからないから」
「注意してね」
「って変わらないのね、勝っても負けても」
「うん、やっぱり何が出て来るかわからないから」
「本当にお酒飲むとさらに危険だから」
普段でもそうだが飲むと、というのだ。
「覚悟していってね」
「僕達の手にも負えないから」
妖怪、しかもその中でもかなりの力を持っている彼等もだというのだ。
「会いに行くにしても注意してね」
「何があってもいい様に覚悟はしておいてね」
「わかったわ」
聖花がその覚悟を決めている顔で応えた。
「それならね」
「覚悟決めて行こうね」
愛実はその聖花に顔を向けて言った。
「それじゃあね」
「今からね」
二人で頷き合いそうしてだった。
二人は天狗達にあらためてこう言った。
「じゃあ行って来るから」
「そうするね」
「棟梁もお嬢と一緒にいるから」
その大天狗もだというのだ。
「付き合わさせられてるよ」
「大天狗さんもお酒好きなのね」
「天狗はお酒も飲むよ」
それでだというのだ。
「僕達もだしね」
「お菓子も好きだけれどね」
「お酒も飲むんだ」
二人にこのことも話す。
「特に日本酒が好きだよ」
「ビールとかもいけるけれどね」
天狗達は今にも飲みたそうな顔になっていた、嘴の短い烏の顔がそれぞれそうなっている。
「僕達も今から飲もうか」
「そうだね、皆のところに行って」
「じゃあ今日はこれでね」
「お嬢達と宜しくね」
「ええ、じゃあね」
お互いに手を振って別れ合う、そのうえでだった。
愛実と聖花はお互いに顔を見合わせた、今も。
そのうえで聖花は眼鏡をかけてから愛実に言った。
「気合入れたから」
「本気ね、聖花ちゃんも」
「そうよ、いつも以上にね」
だから眼鏡をかけたというのだ、言うならばスイッチだった。
「気合入れたから」
「行こうね、先輩のところに」
「虎のところにね」
虎との勝負に向かうのだった。お互いに手を握り合ったうえで前に進むとそれだけで怖いものはなかった。
第二十九話 完
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ