TURN72 レーティア救出その五
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ファルケーゼはすぐに総統官邸の傍の港に向かいそこから降下した、そしてだった。
エルミーの案内を受けて総統官邸の中に入る、周囲を見ている余裕はなかった。
「こちらです」
「わかった」
質素で機能的な官邸の長い廊下を進み奥に奥に入る、そして目の前に樫の重厚な、だが小さい扉を見た。その
扉の向こう側こそがだった。
「ここです」
「総統の部屋か」
「はい、総統閣下はこちらにおられます」
「ここまで何とか来られたがな」
エルミー達第三帝国の最高幹部達だけが知っている秘密の道の一つを通って来た、それでここまで来てだった。
「後は、だな」
「はい、中に入りましょう」
この扉も秘密の扉だ。ここを開けて中に入った。
すると目の前にレーティアが己の席jに座っていた、エルミーが一目でも会いたいと思っていた相手はそこにいた。
そしてグレシアにドイツ、プロイセンと妹達がいた。彼等が揃っていた。
レーティアはエルミーの顔を覚悟している顔で見て問うた。
「エルミー、何故ここにいる?」
「総統、お助けに参りました」
エルミーはドクツの敬礼をしてからレーティアに答えた。
「一刻の猶予もありまえせん、日本までお逃げ下さい」
「そこで生きながらえよというのか、私に」
「はい」
エルミーも決死の顔でレーティアに言う。
「お願いします」
「私はドクツの総統だ、国家元首ならば国家と共に滅ぶのが務めではないのか」
「ドクツは総統閣下がおられる限り何度でも蘇ります」
「だがそれは国民に対する裏切りだ」
彼を愛し忠誠を誓う彼等にだというのだ。
「私はここで自決する、後継者は御前に任じるつもりだったが」
「いえ、ドクツは総統あってのドクツです」
エルミーも退かない、必死の顔のままだ。
「ですから何としても」
「しかし私は」
「いえ、エルミーの言う通りよ」
拒もうとするレーティアにグレシアが言った。
「レーティア、ここはエルミーの言葉に乗りましょう」
「ドクツから逃げ去るというのか」
「そうするべきよ。貴女がいればドクツは何度でも立ち直れるわ」
「国民を見捨てるのか」
「違うわ。貴女がドクツに必要だからよ」
それ故に生きるべきだというのだ、グレシアもこう主張する。
「だからここは逃げて、いいわね」
「そう言ってくれるか。ならグレシア」
レーティアは逆にグレシアに顔を向ける形になって告げた。
「御前も来てくれ」
「私も?」
「私には御前が必要だ」
グレシアへの絶対の信頼を以ての言葉だった。
「だからだ」
「けれど私は貴女のいない間は」
代理としてまともに何も出来なかった、このことを悔やみながらの言葉だ。
「その私を」
「御前がいなくて誰が私のプロデュースをするんだ」
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