千李帰郷パーティ
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「よし、時間ぴったり」
指定された午後6時きっかりに千李は島津寮に到着した。
「中にいるのは、私以外のメンバー全員と朝の1年女子に忠勝みたいね」
千李は寮の中にいる人物を気を使って認知すると、扉に手をかけ勢いよく開け放つ。
「おっじゃましまーす」
言いながら千李が中に入った瞬間、乾いた音が千李の耳に響いた。
玄関にいたのは千李を除いた風間ファミリーの面々と忠勝が奥に立っていた。ファミリー面々の手にはクラッカーが握られていた。
どうやら先ほどの音の正体はこれだったようだ。千李がキョトンとしていると大和たちが声高らかに言った。
「千李先輩おかえりなさーい!!」
そういった大和たちの顔はうれしさ半分、してやったり感半分といった感じである。
これは千李の帰郷を祝うパーティであり、昨日の夜から大和たちが計画してたものである。してやったりといった感じが出ているのは昨日の千李の変なサプライズの仕返しも兼ねてあるからだ。
「ふふん。どうだ姉さん!これが私達からの姉さんへのサプライズだ」
百代が自慢げに言う。
「計画したのは俺なんだけどねー」
「でもこういう計画を立てられるんだから、大和はすごいと思うよ?だから付き合って?」
「ありがとな京だけどお友達で」
「ちっ」
「いやだから京脈絡なさすぎでしょ!」
相変わらずの京の脈絡のない告白に卓也がツッコミを入れる。
そんなやり取りをしている大和達とは裏腹に千李はさっきからうつむいたままだ。
するとそんな千李が心配になったのか一子が千李におそるおそる近寄り声をかける。
「千姉様もしかして怒ってる?余計なことだった?」
一子が千李の顔色を伺うため覗き込むと千李がガバっと一子に抱きついた。
「せ、千姉様!?どうしたの!?」
急に抱きつかれたことに驚いた一子は千李に聞き返す。
しかし一子は千李の状態がすぐにわかった。千李は泣いていたのだ。目じりから大粒の涙を流しながら。
千李は内心不安だったのだ。
1年という短いようで長い期間を留守にして、もしかしたら自分は変わらずにみんなが変わってしまっているのではないか、という不安があったのだ。
千李は顔に出さなかったものの心の中ではそのことでいっぱいだったのだ。
それが今このように1年前と変わらない笑顔で迎えてくれる仲間達を見て、それが一気に消え今度はうれしさのあまりに涙を流してしまったというわけだ。そして千李は嗚咽交じりにこういった。
「…あり…がとう。一子それに皆」
そういうと千李はよりいっそう一子を強く抱きしめた。
それに答えるように一子も千李の背中をなでる。小
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