第十九話
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
後ろから声が聞こえてくると、ヴェントは慌てて後ろを振り向く。
ヴェントとキャナルから少し離れた所には、今日一緒に同行するウィルとルビアが気まずそうにしていた。
ヴェントは全身から汗がどばっと流れて、顔を今日一番に赤くしながら訊ねる。
「・・・どこから聞いてた?」
「えっとほとんど最初くらいかな・・・」
「聞くつもりはなかったんだが、お前たちが俺たちに気付かなかったから・・すまん」
ヴェントは今日の自分を本気で呪った、朝はもう少し経ってから言うはずだったキャナルへの告白をアンジュたちの目の前で言ってしまい、医務室ではディアと全く話ができず、ここではキャナルの下着を見てしまう&ルビアたちに今までの出来事を見られてしまう。
バンエルティア号に帰るころには全メンバーに広まってるだろう、また女性陣に終わることのない質問がくると思うと、背筋に寒気がはしる。
「俺の平和はないのかもな・・」
と、誰にも聞こえない声で呟く。
隣に居たキャナルはあまり恥ずかしく無さそうだ。
「とりあえず!全員揃ったので先にレッツラッゴー!ですぅ♪」
「はぁ・・行くか」
深い溜め息をつきながら、ヴェントはキャナルについていき、ウィル、ルビアもヴェント、キャナルの後を追いかける。
随分歩き続け奥地の間近に迫ると、コンフェイト大森林のように枯れた植物がここでも広がっていた。
一番奥に到着すると、前回のような白い色に変色したのはないが、ここも雑草がほとんど枯れていた。
その中央にはいくつもの虫の死体が転がっていた。
「きゃっ!虫!」
「ゴキブリ!じゃないな・・」
「・・・」
「それは!ここにしか生息しない貴重な生物、『コクヨウ玉虫』だ!」
ウィルが大慌てで『コクヨウ玉虫』に駆け寄ろうとすると、突然辺りにガスのような物が吹き出した。
しかし、そのガスのような物は赤い色でヴェントたちが聞いた赤い煙だと気付く。
突然のことでウィルは足を止めると赤い煙は一体の『コクヨウ玉虫』を囲うように包み込む。
1分程、『コクヨウ玉虫』を包んでいると、突然赤い煙は姿を消し、変わりに先程まで生きているかもわからなかった『コクヨウ玉虫』が少しだけ動き始めた。
「うん?あの赤い煙に包まれた玉虫はまだ生きてるみたいだぞ」
「よし、それならしばらく飼育してみよう」
ウィルは『コクヨウ玉虫』を素手で拾うと、そのまま枯れてない雑草を抜き取り、ヴェントたちの側に戻ってくる。
ルビアはウィルが接近すると、慌てて離れキャナルはさっきからずっと立ったままで一度も動こうとしない。
「キャナル?」
どうしたのかと思い、ヴェントはキャナルに話しかけてみる。
すると錆びたロボットのようにキャナルはヴェントに首
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ