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ランメルモールのルチア
第二幕その二
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第二幕その二

「これで我が家は救われる」
「はい、間違いなく」
 こうしてノルマンノは退室しエンリーコのところにその改竄された手紙が届けられてだ。暫くしてルチアが彼の部屋に呼ばれた。
 彼女は強張った顔で部屋に入って来て。そのうえで兄に一礼した。
「お兄様、一体何の御用でしょうか」
「わかっているな」
 こう妹に対して告げたのだった。
「御前の為に結婚の松明が輝くのだ」
「それは」
「この日このよき日の為に笑うのだ」
 妹にまた言った。
「そんな御前を見たいのだが」
「ですが私は」
「何だというのだ?」
「笑えません」
 俯いての言葉だった。
「どうしても」
「忘れていないというのか?」
「それは」
「過ぎたことは言わん」
 ここではあえて優しい顔を見せた。
「それはだ」
「ではそのまま」
「しかしだ。兄としてだ」
 その兄の顔も見せた。半分は本当に見せている。
「それを見過ごす訳にはいかんのだ」
「ではやはり」
「そうだ。分別のない恋の炎を消し」
「そうして」
「高貴な花婿をだ」
「それはできません」
 俯いたままだがはっきりと答えたのだった。
「決して」
「何故だというのだ!?」
「私は誓いました」
 怒りを見せはじめた兄への言葉である。
「ですから」
「それはできないというのか」
「そう言うのだな」
「はい」
 蒼ざめた今にも死にそうな顔での言葉である。
「ですから私はそれは」
「そう言うのならだ」
 ここで、であった。エンリーコはその切り札を出したのであった。
 テーブルの上にあった手紙を出した。それを彼女に差し出したのである。
「読んでみるといい」
「これは一体」
「手紙だ」
 まさにそれだという。
「この手紙を読めばよくわかる」
「この手紙を」
「そうだ、あの男がどれだけ不実な男がかだ」
「あの方はそんな」
「読めばわかる」
 こう言って切り札を取らせたのだった。
 そうしてルチアはまるで誘われるかの様にその手紙を読みはじめた。読んでいくにつれてその顔が強張りさらに蒼くなっていっていた。
 震える声で。彼女は言った。
「まさか、そんな・・・・・・」
「落ち着くのだ」
 後ろからそっと妹の両肩を抱いて告げた。
「今はだ」
「そんな筈がありません」
 まだ信じようとしない彼女だった。
「こんなことが」
「信じないというのだな」
「嘘です」
 手紙の中を読んでもであった。それでも言うのだった。
「信じています」
「信じているといってもだ」
「他の方を愛されるなぞ」
「しかし確かに書いてある」
 偽りの手紙であるということは勿論隠していた。そのうえでの言葉だ。
「そこにだ」
「ですが」
「信じるのだ
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