第七話「△デート・鏡花前編」
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ートだというものの、水を差された気分になってくる。
「……殺るか」
俺は決して寛容ではないのだ。恨むなら俺を怒らせた自分を恨め。
ウザったい人間ども――主に男ども、中にはギャルと呼ばれる女も――を一瞥して暗示を掛ける。
――この場から速やかに立ち去り、早々に自害せよ。
一瞬俺の瞳が紅く揺らめく。暗示を掛けられた者どもは虚ろな目でその場を立ち去り始めた。
「ふん、己の手で首を絞めたも同然だ。自業自得だ、愚者どもが」
ちょっと胸がスッとした。
時刻は九時四十五分。もうそろそろ来る頃か。
「お待たせー。待った?」
肩を叩かれた。振り返ると可愛らしい洋服に身を包んだ待ち人の姿がそこにある。
首には俺が送った銀のネックレスが掛けられ陽光を反射しており、薄化粧をしていつもより数段綺麗に、そして可愛らしくなっている。
最愛の奥さんの一人に微笑み返した。
「いや、丁度いま来たところだ」
「ならよかったわ」
「今日の鏡花はいつもより映えてるな。ばっちり決まってるぞ」
「蒼もいつもより格好いいわよ!」
鏡花はこういう恋人同士がするような何気ないスキンシップが好きらしい。
俺の返事に気をよくした鏡花は早速俺の腕を取り、ゲートに向かった。
数々のアトラクションに囲まれた鏡花は目を輝かせている。
「遊園地なんて久しぶりねー。前に来たのって四年前だっけ?」
「そんくらいだったな。たしか皆でデスニーランドに行ったんだったな」
あの時はミアと鏡花がアトラクションを全部制覇すると言って俺の腕を掴みずんずん進み、菖蒲は菖蒲で食べ物全部制覇すると言いだし遊園地中の食品コーナーを回った。あの子はあの歳で意外と大食いの気を見せることがあるのだ。
「プランとかは考えてあんのか?」
「ふふーん、あたしを誰だと思ってんのよ。当然考えてあるわ! 今日のエスコートは任せなさいっ!」
胸を張り、肩にかけたポーチから遊園地のパンフレットを取り出す。こいうときは男が先導するのだろうけれど、ことこういうアトラクション好きの鏡花に関してだと話は別。
持ち前の姐御器質と積極性を如何なく発揮し、ずんずんと先陣を切ってエスコートしてくれるのだ。面倒見の良いところもあって、楽しそうにエスコートする姿は見ていて微笑ましく思える。
こういう娯楽施設にあまり詳しくない俺からすると情けなくもあるが、それ以上にありがたい。
「じゃあ頼むぞ。俺、こういうのはからっきしだからなぁ」
「まっかせなさい!」
俺の腕に
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