第37話 誰が為に戦う(3)
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はまだ使えないし、僕は情けない話だけど…あの衝撃に耐えきれない。術を展開する前に気絶してしまうのがオチだ。
だから、僕たちは少しでも街の被害を――」
そこでユーノは、純吾がどうして、そんな事を確認するのかはたと気が付く。
彼が自分の話の中でどこに反応していたか。彼の光柱へ向ける視線が変わったのはどうしてなのか。彼が今、何を目論んでいるのか。
「純吾、まさか――」
「…フロストエース」
少しだけ困った顔でユーノの制止を振り切り、純吾はその場から消えた。
「えぇっ、純吾君が移動したって?」
(うん、フェイトさんの所に行くつもりだと思う。けど、フェイトさんへの協力の難しさは話したばかりだからどうも心配で……
だからなのは。リリーさんに、純吾に何かこんな時に有効な手段があるかどうか聴いてみてくれないかな? それがあれば不安も少しは無くなるけど、僕じゃもう追いついて確認することもできないし)
「う、うん。分かった。じゃあ、ユーノ君も気をつけてね」
念話を切り、なのははレイジングハートを握りしめた。
今彼女とリリーは光柱から少し離れて滞空している。封時結界を強化するしか今のなのは達にとれる手段はなく、まず強化すべきは光柱がぶつかっている場所だと考えたからだ。
純吾がユーノの制止も聞かずに移動を始めた事に、例えようもない気持ちををなのはは覚えた。
彼なら奇想天外な方法で何とかしてくれるんじゃないかという願望。自分としっかり約束したのだから、無理はしないだろうという淡い期待。そして、どうしてもぬぐい去る事ができない、彼がまた無茶をするのではないかという不安。様々な感情が煮えたぎるスープの様になのはの中で暴れまわっていた。
「なのちゃん。ジュンゴが移動し始めたって、どういう事?」
と、念話の事を聞こうとなのはが行動に移す前に、リリーがなのはの顔を覗き込むように聞いてくた。
なのはが覗き返したリリーの黒い瞳は不安に揺れているのが見える。なのはは、自分の心臓が不安で鼓動を速めたのを感じた。
「はい…。その、ユーノ君から聞いたんですが――」
胸に手を置いて、必死に鼓動を押さえながらなのははユーノから聞いたことを説明する。
そして、段々と説明を聞くリリーの顔に怒り、悲しみ、そして焦りが表れてくるのを見た。
「何しようってのよ、ジュンゴ――」
ギリ、と奥歯を噛みしめるとリリーは翼を広げ、身を翻す。
「リリーさんっ!」
「付いて来ないでっ! あなたは、あなたがする事をしなさい!!」
リリーについていこうとするなのはを、有無を言わさず押しとどめる。そしてなのはがそれに答える前に、光柱の元へと向かって飛び去って行った。
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