反転した世界にて9
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。例によって、傍らでカチンコチンになってしまっている白上さんの姿が反面教師となって、僕の方は意外なくらいに落ち着いた対応ができた。
「上がって?」
「は、はい……」
玄関のカギを開けて、白上さんを招き入れる。
逡巡、白上さんは外と玄関の境目で僅かに躊躇したかと思うと、恐る恐る、その一歩を踏み出した。
恐る恐る、ではあったのだけれど。しかしそれは、慎重さとはかけ離れたもので。
――僕の靴を踏んでしまわないように、白上さんはやや大股になってその一歩を踏み出したのだけど。
その着地地点にも、また別の靴が出しっぱなしになっていた。咄嗟にとしてしまった白上さんは、ガクンとこけてしまい――、
「うぉっ?」
「あ、危な」
ぼすっ、と。咄嗟に身を乗り出した僕の腕の中に、すっぽりと白上さんの身体が収まってしまう。
「……」
「……」
丁度、玄関の高低差のせいで、白上さんの頭を胸元で抱きとめる形になってしまった。
「……」
「……っ!」
ギュッと、腕に力を込めてしまったのは仕方のないことだと思う。細くて柔らかくてあったかくて。
上昇した体温から発散されるかのようにして、シャンプーの香りと汗の匂いとが、鼻から脳へと伝わって、痺れてしまう。
「はっ……、ふっ――」
ビクンと、白上さんの肩が震えて、呼吸が荒くなった。
じんわりと、胸部に熱を持った吐息が染み込んでくる。呼吸のたびに、徐々にの腰に回されている腕にも、力が込められていくのを感じた。
鳩尾の当たりに押し付けられた極上の柔らかさが、ついぞ僕の理性を全面的にノックアウトする。回した手の甲をくすぐる、白上さんのポニーテールの尾先がくすぐったくて、気持ち良くて。
――取り繕うのも、ここらが限界だった。
「嫌だったら、言ってね――」
「え……、んむっ!」
一言は多分余計だったと思うけど、それが最後の理性だったように思う。
白上さんのうなじに添えた右手をそのままに。左手で、その細い輪郭の顎をくいっと指先で持ち上げて、
その一連の動作の流れるままに、僕は白上さんの唇に、自分の唇を重ねてやった。
「ふっ、……ちゅ、んぅ……」
動揺と緊張が、一瞬強張った白上さんの身体からダイレクトに波及してくる。けど、此処で唇を離してしまうようなことはしない。
だってそれ以上に、白上さんの全身からは、喜色の震えが伝わってきたのだから。
「〜〜っ、チュッ……んむぅ……」
唇を押し付け合うだけで、済むはずもなかった。既に僕の欲情は限界をフルスロットルで振り切っている。僅かに開いた隙間に、唇を押し込むようにしたのち、舌を滑り込ませた。
白上さんは抵抗することなく受け入れてくれた。
ぬるぬ
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