第一幕その七
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結んだ」
エドガルドは今それを己の中に見ていた。
「これを分かつもの、それは」
「それは」
「死だけだ」
それだけだと。今言った。
「それ以外の何者でもない」
「では私達は例え離れていても」
「永遠だ。では」
「行かれるのですか?もう」
「時が迫っている」
だからだというのである。
「私はこれで」
「では私は」
「どうするというのだ?」
「貴方がフランスに行かれるなら」
そうならばというのだった。
「私はこの心をフランスに」
「送ってくれるのか」
「私の心はいつも貴方と共にあります」
だからだというのである。
「ですから」
「わかった。それではだ」
「はい」
「私はいつも君のことを感じている」
今にもルチアを抱き締めようとしていた。しかし今はそれをしなかった。
「フランスにあってもだ」
「御便りもどうか」
ルチアはこのことも彼に告げた。
「そうして私の儚いこの運命にも希望を」
「わかっている。それもまた」
「御願いします」
「私のこの燃える溜息が」
ルチアを見詰めての言葉である。
「そよ風に乗って君に届く」
「私に。それでは」
ルチアもそれに応えて言うのだった。
「貴方は呟く海に私の嘆きが木霊するのを聞かれるでしょう」
「それをだというのか」
「そうです」
まさにその通りだという。
「それを知って誓って下さい」
「わかっている。では今誓おう」
「はい、その誓いを御便りに入れて下されば」
「ではまた」
「御会いしましょう」
「神が結びつけてくれた幸せに誓って」
こう言い合い今は別れた。二人は永遠の絆で結ばれた。しかしその二人の上にある空は暗鬱なものであった。そこには雷が無数の竜の如くうねり轟いていた。
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