第二十九話 兵学校その二
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「それで幾ら飲んでもね」
「酔わなかったのね」
「あの人は特別だったみたいだから」
「普通日本人ってお酒弱いぜ」
美優は首を捻りながら述べた。
「何か弥生系だとそうらしいよな」
「あっ、そうなの」
「織田信長もお酒飲めなかったらしいしな」
よく漫画や小説で信長が酒を飲む場面があるがそれはどうやら誤りらしい。信長は甘いものを好んだと言われている。
「あの人もな」
「へえ、そうだったの」
琴乃は美優の話を聞いて目を丸くさせた。
「如何にも飲みそうなのに」
「そう思うよな」
「イメージ的にね。偉そうに杯を手にしてって」
しかも大杯だ、それを右手に持ち上座でだというのだ。
「そう思ってたけれど」
「それが実はなんだよ」
「じゃあ甘党だったとか?」
「そうなんだよ」
美優もこのことを言う。
「果物とかお菓子とかな」
「そういうのが好きだったってな」
「意外ね、下戸だったの」
琴乃はそうした信長の話を聞いて驚いたままだった。
「漫画とかじゃ飲んでるけれど」
「漫画は漫画だからな」
「実際とは違うのね」
「とにかく信長さんは酒は飲まなかったんだよ」
そこが大きく違うというのだ。
「飲むのはお茶だったんだよ」
「随分ヘルシーね」
「あたし達よりずっと健康的だよな」
「本当にね」
そうした話をしながらだった、五人は朝食の場に向かっていた。
そしてその朝食の場に入ると。
既にかなりの人数がいた、だが皆だった。
もう酒も抜けて元気だった、景子はその皆を見て言う。
「皆元気ね」
「まあ走ってサーキットトレーニングしてお風呂入ってだからんえ」
「それでお酒抜いたからなのね」
「私達もそうでしょ」
彩夏は微笑んで自分達の話もした。
「実際にこうね」
「お酒が抜けて元気だっていうのね」
「そりゃお酒が抜けたらね」
それでだというのだ。
「皆元気になるわよ」
「気分もリフレッシュして」
「そういうことよ、つまりはね」
「そうね。じゃあ今から座って」
それぞれの席にだ、五人は空いている席に並んで座った。その横には女の先生がいた。江田島に来る時にぼやいていたあの先生だ。
先生は五人が自分の横に来たところでこう言ってきた。
「皆元気ね」
「はい、お腹空いてます」
「それもかなり」
「元気なのはいいことよ。ただね」
「ただ?」
「ただっていいますと」
「先生はもうこの合宿十回目だから」
それだけ経ているというのだ。
「先生になってからね。高校の時もだったけれど」
「あっ、先生八条学園卒業でしたね」
「私達の先輩でもありましたね」
「ええ、高校の時からこうなのよ」
八条学園の文化系の部活の合同合宿はというのだ。
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