GGO編
百十九話 これからもよろしく
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何と無く恭二は察したらしかった。少しだけ俯く恭二に、詩乃は少し語気を強めて続ける。
「私、今日思ったの……人間はきっと、きっかけと思いきりさえあれば、自分が思ってるよりずっと簡単に変われる物なんだって……私も、変われたんだ。だから、新川君だってきっと……」
言いながら、新川を正面から見つめる。しかし返すように見返してきた新川の瞳には、やはり消えない悲しさと、諦めたような表情が浮かんでいた。
「……僕は、朝田さんやリョウさんみたいには、なれないよ」
「……どう言う事?」
眉をひそめた詩乃に、新川は再び自嘲気味に笑って言った。
「僕は、朝田さんやリョウさんみたいに、強く無いんだ。情けなくて、自分の駄目な所と向き合うのを怖がってるばっかりな、弱虫なんだよ。変わることも、変わってから、今までしてきたことと向き合う事も、僕は……」
「なら……」
正直に言えば……その答えは、予測していた。
彼の自分への自身の無さは、最早此処までの話で明らかだったからだ。しかしだからと言って、そうそう容易く自分が恭二の考えを変えられるとも思えなかった。
「新川君は強くならなくても良い」
「え?」
「その代わりに……私が君を支えるから」
「…………へっ?」
詩乃の言葉を、恭二は反射的には理解できなかったらしかった。茫然、と言うよりもゲーム内でフリーズしたように固まる恭二に、詩乃は、繰り返す。
「聞こえなかった?私が君の事、支えてあげるから生きてって言ったの」
「な、何言って……」
「言葉通りの意味で言ってるの」
動揺する恭二に詩乃は更にたたみかけるように続ける。
「一人で立てないなら、別の人が支えてあげればいい。そうすれば、弱く立って頑張れる。私も……そうだからさ」
「そんな……そんなのは駄目だよ!」
「どうして?私が自分でそうしたいからそうするの、何かいけない?」
当たり前の事を訪ねるように、そう迫った詩乃に、流石の恭二も動揺した。
「だ、だって、僕は……僕は朝田さんを殺そうとしたんだ!ずっと嘘を付き続けて来たんだ!朝田さんが気付いて無いだけで、僕は朝田さんの事を、傷つけ続けて来たんだよ!?そんな、そんな人間と関わったら駄目だ!僕のことなんて、忘れた方が幸せになれるのに……!」
立て続けに自分を罵り続ける恭二の言葉を、詩乃は黙って聞いて居た。しかし……最後の一言で、少しだけ何かが切れた。
「勝手に……決めないでよ!!!」
「ッ……!?」
「なによそれ!?新川君が死んで、君の事忘れてその先ずっと生きてくのが、私にとって幸せ?なんでそんな事が言えるの?そんなわけ無いでしょう!!?」
「ぇ……」
凄まじい気迫と共に吐き出された言葉に、恭二は目に見えてたじろぐ。睨みつけるような鋭い眼差しを恭二に向けたまま、
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