ALO編
epilogue 彼女の腕の中で3
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を今より更に苦しめるかもしれない。だからこれは、悪魔の誘いかもしれない。
「ソラあっ!!!」
かすれていく声で、叫ぶ。強く、強く。
―――だが君が、それでもなお、彼女を求めるなら……
ヒースクリフの声が絶えたと同時に、彼女の目が開き切って。
「はじめましてっ! 私はメンタルヘルスカウンセリングプリグラム、コードネーム《ソラ》ですっ! これから貴方と一緒に行動をすることになりますっ! 生まれたばかりですが、一生懸命頑張って役に立つのでっ、よろしくお願いしますっ!」
花の咲いたような笑顔を浮かべて、弾けるような快活な声で名乗った。
俺の記憶の中、その動作と、完全に一致する、彼女の振舞い。
瞬間、俺は、彼女を両腕でしっかりと抱きしめていた。
◆
「ソラ……ソラぁ……ソラっ!」
「……うんっ。私は、ここにいるよっ。ちゃんと、ここにいるっ」
何度も、何度も呼んだ。二度と届かないと思っていた、その声。
彼女は、その声にいちいち返事を返してくれた。
狂ったように、子供のように泣き叫ぶ俺を、彼女はずっと、しっかりと抱きしめてくれた。
「ソラっ…ごめん、ごめん……っ!!!」
「……ううんっ。謝ることなんか、何にもないよっ」
知らないはずなのに、記憶が無いはずなのに、彼女は何度も頷いてくれた。俺を励ましてくれた。膝が崩れ、そのままふらつく俺を抱きしめたまま、彼女も座り込む。この位置からは顔は見えないはずなのに、俺にはその顔の優しい笑みがはっきりと映っていた。
「ソラ……ソ、ラっ……!」
「……うんっ。私は、ここだよっ。だから……」
腕が、一段と強く俺を抱きしめる。
その心地よい、懐かしい密着感。向こうの世界では避け続けたくせに、今俺はその密着感をむさぼる様にソラをまた強く掻き抱く。プレイヤー相手にすれば間違いなくハラスメントだし、例えそうでなくても圧迫感のあるだろうその力に、しかしソラは全く抵抗せずに身を預けてくれていた。
「だからっ、今はゆっくり泣いていいんだよっ」
止め処なく流れる涙が、俺の視界を奪う。
溢れ出す巨大な感情の奔流が、俺の理性を押し流す。
もう俺は、何を言ったかも分からなくなっていた。支離滅裂もいいところな俺の言葉に、ソラは辛抱強く頷き、優しく包み込んでくれた。俺の謝りも、後悔も、懺悔も。ただただ笑いかけて、俺の背中を撫で続けてくれた。
どれくらいそうしていたか。
もう俺が全てを吐きだし……全てを許して貰った頃に、とうとう来た意識の闇。
その闇に抗うように、必死に彼女を抱きしめる。そんな俺に。
「……私は、一緒にいるよっ。貴方が元気になるまで、ずーっと一
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ