ALO編
epilogue 彼女の腕の中で2
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「おいおいおい……」
『ダイシー・カフェ』を出てからしばらくして、辿り着いた待ち合わせ場所は、ヤバかった。
いや、その場所を指定された時から、嫌な予感……というか予感でもなんでも無く分かっていたが。
「どこのお嬢様なんだよ、モモカって……」
待ち合わせ……というか、予約された店は、高級ビルの最上階に陣取る、超のつく有名店だった。思い返せば彼女は年下で、更に女性である。待ち合わせが決まって調べた段階で覚悟はしていたし、店のランクに合わせて今日はスーツ(成人式以来だ)にネクタイ(ノータイ不可の店だ!)だが、服装は整えられても財布はそうはいかない。
(奢りだったら、嫌だなあ……)
だがまあ経験から考えて、男が女と食事をするならそこは何とかしなければいけない所なのだろう。ALOの取材記事のおかげでそれなりの収入は入ったが、それでも無駄遣いは厳禁、という程度の量に過ぎない。生活費が足りなくなったら『四神守』の家に頭下げに行く必要がある。それだけは避けたい。
……とかまあ、純粋な生活面でも問題なのだが、今回はそれに加えて。
(……くる、よなあ…)
男と女の、そういう話。
ああ、俺が鈍感野郎だったら……は、前も言ったか。今回それを切り出されたらどうするかね。
深い溜め息をついて、店の入り口をくぐる。
エレベーター、最上階。全く、俺の財布じゃどうなることやら。
まあ逃げる訳にもいかないし。
と、胃が痛い思いをしながら俺はこうしてこちらの世界のモモカと会うことになった。
ちなみにそこでは、ちょっとしたサプライズがあり……おかげでだいぶ救われたのだったが。
◆
―――お、驚きました! シドさん、外人さんだったんですね! そ、それに、背、高い……。
俺のこちらでの姿を見た彼女は目を丸くしたが、彼女が「十驚いたポイント」だったら俺は軽く百は驚いたろう。そして同時に、ほっと胸を撫で下ろした。……ずるいとは思いながら、だが。
彼女は、こちらでも非常に可愛らしく……そして、小さかった。
俺の向こうの世界もメじゃないくらいに、だ。
身長で言うなら恐らく百三十あるかどうかだろうし、髪は可愛らしい二つ結び、着ている清楚なワンピースと赤いシューズは実に若々しい……というか、子供らしい。いや、子供なのだから、子供らしいのは当たり前だ。そして子供は子供でも。
―――えっと、『桃花 花蓮』と申します。こ、こっちは芸名じゃないです。年は、十二歳、です。
なんと彼女は、まだ小学生だった。驚きだ。だがこれのおかげで、「好きです!」も、「大きくなったら結婚する!」も「俺が犯罪者
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