ALO編
epilogue 彼女の腕の中で2
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にならなくて済むくらいの年になったらな」と誤魔化すことができたのだから、非常に助かった。ちなみに俺は頭に「ロ」の字の付く性癖では無いため、こんな子供に言い寄られて変な気になったりはしない。
そしてダブルで俺を驚かされたのが。
―――芸名?
―――えっと、私、去年まではテレビとかに出てて……
何でも彼女は所謂「天才子役」様だったのだ。歌も踊りも演技も上手で、いくつもの番組で引っ張りだこ、歌番組なんてのにも出演していたらしい。その八面六臂の大活躍はまさに、一世を風靡した時の人のそれだった、というわけだ。
しかし、子役として活躍できる期間は短い。
彼女が体調を崩したのもあって急遽半年の休養、さらに一時期喉を痛めたせいで歌や踊りを制限され、だんだんと仕事が減って行き……しかし普通の女の子に戻ることは、出来なかった。一度有名になってしまえば、それは仕方のないことだ。
だから彼女は、仮想の世界にやってきた。
失われた歌を……この先失われていくであろう時間を、取り戻したくて。彼女がアルヴヘイムに歌を、踊りを、演奏を、冒険を求めたのは、それが原因だったのは言うまでも無いだろう。
―――演奏を教えてくれたり、私の声を作ってくれたのは、芸能関係で知り合った人なんです。私がこっちでも存分に歌えるように、楽しめるように、こっちの世界での声と同じ声を作ってくれて……
成程プロの力で作ったなら、あの声の精度も納得だ。
モモカ、『サクラ・ヨシノ』、そして彼女本人の、三人とも全く同じ声。
あの世界で歌うのは、実は難しい。何せ声として生まれるのは自分の本来の声とは違う音色、トーンのそれなのだ。いくら歌に慣れていても、その微妙な違いを表現するのはモノマネ好きの歌い手でもないかぎりは困難。そんな世界でも、彼女が好きに歌えるように、皆が手伝ってくれたわけだ。
―――こんな私でも、これからも一緒にいてくれますか…?
彼女の、恐る恐るの声。芸能人と知られたら、今まで通りではいられないことを経験的に知ってるのだろう。だが、俺はそこまで彼女が「別世界の住人」だとは思わなかった。それは俺が彼女の活躍していた頃にSAOに囚われていたから、というだけなのかもしれないが、そんなことはどうでもいい。
大事なのは、俺の返事。それは。
「言ったろ? モモカは、モモカだ。俺は一緒にアルヴヘイム中を旅して、一緒に笑いあったモモカのことをよく知ってる。俺は、モモカが一緒にいると楽しい奴だって知ってる。それで、十分だ」
あの世界でのそれと、全く変わりはしなかった。
◆
深々と、溜め息をつく。表示されたウィンドウ画面はアルヴヘイムの時刻を表示しており、その数字が示すのは、零時五分前。モ
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