第119話 劉協の複雑な想い 後編
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らないでもありませんが、それを見過ごしていては組織は腐敗していくだけです。
どこかで根を立たなければならない。
宦官を粛正したところで腐敗官吏を一掃できなければ組織の健全化を行なうことはできないです。
何進が宦官を粛正したところで腐敗官吏の一掃は無理でしょう。
大きな組織になればなるほど病巣を取り除くには荒療治が必要です。
組織を破壊し一から作り直すことが一番の近道です。
その結果、多くの犠牲を強いることになるでしょうが未来の者に安寧の世を与えるために必要なことです。
この想いを劉協に語るのは流石に憚れます。
私は既に現在の漢室を見限っています。
劉協が幾ら名君となろうと組織を立て直すことはできず、無駄に腐敗した組織を延命させるのみです。
ですが、何も語らなければ劉協の様子からして帰してくれそうにない気がします。
劉協は歳若いですが皇族して漢室の行く末を案じているのだと思います。
この歳で皇族としての責務を自覚しているとは惜しい人物です。
当たり障りのない私の気持ちを言うことにします。
でも、皇帝陛下への批判になる発言なので気が引けますが仕方ありません。
「皇子、民草は飢えています。その日生きる糧を得ることも侭ならず、ただ死に行く者達が大勢おります。反乱を起こした者達も全てが全て生来の悪党でなく、生きるために加わった者達が大勢います。しかし、彼らを討伐しなければ世は更に乱れます。矛盾していると思われませんか? 民草が生きれる世を作るため皇帝陛下を補佐し努めることが本分である我らが、生きることができず賊に身を落とした民草を殺しているのです。真面目に生きる民も大勢いますが、彼らがいつ賊に身を落とすかわかりません。私は賊に身を落とした民草を賊として殺すことしかできません。殺さねば真面目に生きる民を賊に身を落とさせることになるからです。このままでは、いずれ真面目に生きる者が居なくなり、この世に民草はいなくなるかもしれません」
私はそれを皮切りに自分の冀州で経験した黄巾の戦の話を語りました。
劉協は私の話を黙って聞いていました。
「そ、そのような、民草は酷い暮らしをしておるのか?」
私の話が終わると劉協は暫し沈黙していましたが、彼女は瞳を潤ませ私に聞いてきました。
歳若く深窓の令嬢である彼女には過激な話であったかもしれません。
話すべきことであったか少し後悔しています。
「人の上に立つ者が民草を見えなくなれば、このようになることは必定にございます。力持てる者に力無き者の痛みはわかりません。生まれながらにして力を持つ者であれば尚更です。皇子、あなた様も民草からすれば力を持つ者なのです」
「・・・・・・」
劉協は私の言葉に沈黙しまし私を真剣な瞳で私を見つめていました
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