ALO編
epilogue 彼女の腕の中で
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だったのだが。
◆
―――親父は、家名が一番大事だからねえ―――
話しあいの後にやってきてそう言ったのは、玄路さんだった。
成程、そう言われれば納得できる節もあるように思う。もう爺さんの代の『四神守』は爺さんを残すのみ、最期の一人として代々続く家名を綺麗なまま引き継ぎたいという気持ちは、分からなくはない。だがまあついで言った、
―――それにしても、『神月』の牡丹ちゃん、命令されたことにすごい感じてたねえ?
―――彼女はそういう属性だったのかー。キミも付き人に恵まれたねえ?
これはちょっといただけないだろう。仮にもアンタ名家の跡取りだろ、エロ親父みたいなこと言ってんじゃねえよ。全く、どいつもこいつも。しかしそんなアホそうな人なんだが突然、
―――『神月』は、十八で仕えるべき『主人』を定められるからねえ。彼女はちょうど朱春がこの家に帰ってきたあたり……キミがあの世界に囚われて一年くらいの時かなあ? でその年だったからね。まあ、現実世界に帰ってこれるかも分からないキミに仕えることに定められたんだ。ボクはおいおいと思ったけど、それでも『神月』総領の命令だからなあ。
―――彼女もそれに従って、それ以来VRワールドを学んで、ナントカってゲームもしてたけど、キミの役に立ったなら何よりだ。総領さんの人を見る目はホントにすごいねえ。勿論、牡丹ちゃんの努力もだけど、さ。
こんなことを言い出すのだから、どう扱っていいのか分からなくなるものだ。
全く、あの家は俺にとってはやはり天敵だ。
これからもなるべく関わらずに生きていこうと、俺は決意を深くしたのだった。
◆
「お? そろそろ時間か」
「もういくのか?」
携帯のアラームが時間を告げたことを知り、別の仕事の原稿を打っていた端末を閉じる。最後の一口を飲み干して立ち上がり、カウンターに小銭を置く。と同時に、ポケットに入れておいた安物小型メモリを放ってよこす。
「なんだ? こりゃ?」
「俺から『勇者一行』への、SAOクリアの祝いだ……まあ作ってくれたのはレミだから、『冒険合奏団』からの祝い、ってことでな。レミはなんでも絶対音感らしくて、帰ってきてアルヴヘイム内の作曲ソフトで作ったんだとよ」
訝しむエギルが、それをスピーカーに繋ぎ……目を丸くし、直後、その目が細まる。
恐らく俺達の中では、最もこの音楽に馴染みがあるプレイヤーだったろうしな。
それは懐かしい、アインクラッド第五十層主街区、アルゲードのテーマ。
「……今度会ったら、あのチビ嬢ちゃんにも礼を言わんとな」
「……そうだな。是非そうしてやってくれや」
適当に笑い。
「お
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