暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
ALO編
epilogue 彼女の腕の中で
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走って影妖精領まで行き、その後メンテが昼の十二時まで。そうしてログインして『古代獣の封印迷宮』にずっと張り込んでいて……とはいってもそれなりの時間は立っていたはず。

 ……ということは。

 「……何時間、待っていたんですか…!?」
 「大した時間ではありません」

 ……正確な答えは得られなかった。
 が、その背筋を伸ばして正座する姿勢が、やけに怖かったのだけは良く覚えていた。

 牡丹さんはあの後も、あまり変わらなかった。変わらずに俺に名字で呼ぶことを強要し、ブロッサムとしてはその毒舌を如何無く発揮(どうやら喋らないのはキャラとして固定され、俺以外のプレイヤーともタイプチャットになったらしい)していた。ただしその視線に、なーんか強すぎる感情……羨望というか陶酔というか、ヤバげなのが混じっている気がする。「自信を持って命令なさってください」の時の目が、ちょっと鬼気迫っている。

 なんなんだありゃあ……?





 そしてその数日後、『ALO事件』が世に存分に報じられていた頃に俺は、『四神守』の家に呼び出された。まあ、しゃーない。禁止されてた『四神守』の名、堂々と名乗ったしな。どこからその情報が漏れたか……おそらく牡丹さんからだろうが、そうでなかった時が恐ろしいから確認はしていない。

 正座で向かい合った爺さんの重苦しい問いかけは、二つ。

 一つは、「三百の命を救うに当たってとった行動に、『四神守』として恥じることは無いか」。答えは、「無い」。『四神守』云々は知らんが、あの行動に……SAOからALOへと囚われた三百人を救う『勇者』をほんの少しだけでも助けたというその行動には、何一つ恥じることは無い。『四神守』を名乗ったのが怒られるかと思ったが、そこは何も言われなかった。

 あーこわかったー。

 そして、もう一つ。

 ―――二年間に渡る囚われの暮らしに、『四神守』として恥じることは無いか―――

 その問いに、俺は「無い」と言えなかった。残念ながら。嘘のつき方には自信があったが、流石にこれは、咄嗟には出来なかった。俺をもうずっと、ずっと長いこと縛る、一つの後悔。自分の無力。その奢りを、俺はずっと恥じていたから。だから。

 ―――一つだけ、あります。大切な人を、守れなかったことが、あります―――

 そんなことを口走っていた。今思えば、よくこんなこっぱずかしいことを言ったもんだ。全く、あの道場の空気はどうにもマジ……というか青臭いことを言う空気になっていけないな。あそこにはまた五人が勢ぞろいだったけど、誰一人茶化さないんだもんよ。

 まあ、そんな俺の答えに対しての返答は。

 ―――その恥をそそぐことが出来たときに、また来い―――

 何の真意かよく分からんもの
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