ALO編
epilogue 彼女の腕の中で
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走って影妖精領まで行き、その後メンテが昼の十二時まで。そうしてログインして『古代獣の封印迷宮』にずっと張り込んでいて……とはいってもそれなりの時間は立っていたはず。
……ということは。
「……何時間、待っていたんですか…!?」
「大した時間ではありません」
……正確な答えは得られなかった。
が、その背筋を伸ばして正座する姿勢が、やけに怖かったのだけは良く覚えていた。
牡丹さんはあの後も、あまり変わらなかった。変わらずに俺に名字で呼ぶことを強要し、ブロッサムとしてはその毒舌を如何無く発揮(どうやら喋らないのはキャラとして固定され、俺以外のプレイヤーともタイプチャットになったらしい)していた。ただしその視線に、なーんか強すぎる感情……羨望というか陶酔というか、ヤバげなのが混じっている気がする。「自信を持って命令なさってください」の時の目が、ちょっと鬼気迫っている。
なんなんだありゃあ……?
◆
そしてその数日後、『ALO事件』が世に存分に報じられていた頃に俺は、『四神守』の家に呼び出された。まあ、しゃーない。禁止されてた『四神守』の名、堂々と名乗ったしな。どこからその情報が漏れたか……おそらく牡丹さんからだろうが、そうでなかった時が恐ろしいから確認はしていない。
正座で向かい合った爺さんの重苦しい問いかけは、二つ。
一つは、「三百の命を救うに当たってとった行動に、『四神守』として恥じることは無いか」。答えは、「無い」。『四神守』云々は知らんが、あの行動に……SAOからALOへと囚われた三百人を救う『勇者』をほんの少しだけでも助けたというその行動には、何一つ恥じることは無い。『四神守』を名乗ったのが怒られるかと思ったが、そこは何も言われなかった。
あーこわかったー。
そして、もう一つ。
―――二年間に渡る囚われの暮らしに、『四神守』として恥じることは無いか―――
その問いに、俺は「無い」と言えなかった。残念ながら。嘘のつき方には自信があったが、流石にこれは、咄嗟には出来なかった。俺をもうずっと、ずっと長いこと縛る、一つの後悔。自分の無力。その奢りを、俺はずっと恥じていたから。だから。
―――一つだけ、あります。大切な人を、守れなかったことが、あります―――
そんなことを口走っていた。今思えば、よくこんなこっぱずかしいことを言ったもんだ。全く、あの道場の空気はどうにもマジ……というか青臭いことを言う空気になっていけないな。あそこにはまた五人が勢ぞろいだったけど、誰一人茶化さないんだもんよ。
まあ、そんな俺の答えに対しての返答は。
―――その恥をそそぐことが出来たときに、また来い―――
何の真意かよく分からんもの
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