ALO編
episode6 重み4
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きだった。
◆
―――正直、期待した。
ここで死んで、目が覚めたら、『彼女』の笑顔が俺を迎えてくれることを。
だが、現実はそんなに甘くは無い。いや、この場合は生きて帰れたことを以て、予想より甘い、というべきか。セーブポイントで生き返って横たわっていた俺を見上げていたのは、
「シドさん! シドさん!」
『彼女』の弾けるような明るい声では無かった。
だが、聞き覚えのある声。
鈴の鳴る様な美しい、一度聞いたら忘れられない印象的な声は。
「モモカ、か……?」
「そうです! しっかりしてください!? どうしたんです!? 何があったんです!?」
「ああ、大丈夫だ……」
ショッキングピンクの髪を揺らしながら心配げに俺を覗きこむその顔に、ゆっくりと笑いかける。もう大丈夫だ、と。全部、終わったんだ、と。……俺に出来ることは、全部やったんだ、と。それだけで、モモカは分かってくれたようだった。ぶっ倒れたままの俺の頭に、何か柔らかい感覚。
「良かったですね……シドさん……」
「ああ……」
「本当に、良かったです………!」
「ああ、ありがとう……」
涙交じりの声を聞きながら。
「悪い……ちょっと、疲れたや……続きは、また今度な……」
とうとうやってきた疲労による暗闇に、俺の意識はあっさりと捕えられ。
逃げるどころか抵抗すらままならず、俺の体は向こうの世界へと|寝落ち(ログアウト)していった。
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