ALO編
episode6 重み2
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さらに横目で恐らくクエストMobの難易度調節用コンソールなのだろう箱の上の開きっぱなしのウィンドウを見やり……最初の目論見が達成されたことを確認する。
ほっと安堵……する暇はない。
「な、な、なんだお前はっ!? ど、ど、どこから入った!?」
目の前の男を、始末せねばならない。最も簡単な、「殺す」という以外の方法で。
どうすればいいか。どうすれば、その意志を圧し折れるか。思い描くのは、一人の男。絶対の力を持ち、逆らおうという気さえ起こさせないような堂々とした振る舞いを何時如何なる時も絶やさなかった、深紅の『王者』。
その思い描く姿をなぞって、堂々と告げる。
「それに答える必要があるのか?」
「ひ、ひぅっ!?」
その声だけで、男が怯むのが分かった。この男、幸いにもどうやらそこまでの強い意志は持っていないようだ……が、流石にこれだけで逃げ出してくれるはずはない。なぜなら相手は、ゲームマスター。その左手が、鋭く動く。何らかの、ウィンドウ操作。
「こ、こ、これでこの部屋からはもうログアウト出来ない! と、と、扉も開かないぞ! に、にに、逃げられないからなっ!」
慌ただしい手つきでの……それでも流石はゲームマスター、いや、研究者だと思わせる速さでの設定変更。いくらこいつが雑魚でも、それは覆せない事実。冷静になられれば、負ける。だがそのことは、おくびにも出さない。―――あの男は、一度たりとも弱気になったことは無かった。なら俺も、ここで弱気になるわけにはいかない。
「それがどうした? 逃げる? 何故俺が逃げなくてはならない?」
「っ、っ、な、な、ならっ、」
堂々とした俺の態度に、自身に満ちた声にますます男が怯え、再びのウィンドウ操作。と同時に、男の横に現れるポリゴンの影は、見覚えがある。……まずいな。恐らく次に来るのは。
「が、が、ガーディアンだっ! こ、これなら、」
ブォン、という電子音とともに男の横に召喚されたのは、実に火妖精領以来の再会となる、『圏内』の敵対種族を容赦なく切り捨てるシステム上最強の戦士……ガーディアン。まともに戦えば、当然勝ち目はない。だが。
「いいのか? ここで俺を殺して?」
次の設定……恐らく俺を敵対種族に設定される直前に、脅すように声をかける。操作する男の手がぎりぎりで止まって、その目が俺を見る。ガーディアンに震える心は、根性で隠す。ここで動揺を悟られては終わりだ。
「確かにログアウト不可なら俺は外には逃げられない。だが、ガーディアンがいれば話は別だ。このガーディアンによる『死に戻り』ができるぜ?」
「っ、な、な、」
「俺の最終セーブポイントは音楽妖精領。この空間ならいざ知らず、
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