第七話 〜前哨〜
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割って入る。
そして凱雲の表情はいつの間にか驚きから怒りへと変わっていた。
黄盛、やってしまえ。
『…凱雲殿。お主は何をしておる』
『…』
『答えろ!!』
ドガッ
黄盛の拳が綺麗に凱雲の腹を捉える。
だが、人の腹を殴ったとは思えない鈍い音が聞こえた。
『…ッ』
そしてそれを受けた凱雲は一瞬眉をひそめるも、直ぐに涼しい顔をしてみせる。
おかしい。
黄盛は手を抜いたのか?
『…ッ!貴様!』
『洋班殿』
凱雲は黄盛を無視するように俺を睨む。
その瞬間背筋が凍る。
『な、なんだ』
『豪帯様は巻き込まないで頂きたい』
しまった。
また怯んでしまった。
俺には奴を潰した黄盛がいるじゃないか!
何を怯む必要がある!
『そ、そりゃ無理な相談だな』
『何故?』
『親の罪は子も同罪だ!それを捌いて何が悪い!』
『…どうしても撤回はして頂けないおつもりか?』
『お、おう』
『…』
やばい。
『こ、黄盛!何をしてる!こいつを斬れ!』
『は、ははっ!!』
黄盛が獲物の吊るしてある自らの馬へと駆け寄る。
『ま、待ってください!』
だが、それを豪統が引き止める。
『賊は必ずいます!嘘偽りはございません!洋班様の命であるならば…息子を案内役にお付け致します…ッ!』
『な、何を言われますか!何も豪帯様を人質に差し出さなくても!』
豪統が俺の言う事を受け入れる。
そしてそれを聞いた凱雲が慌て出す。
少し様子を見ておくか。
『凱雲…すまない。私の決意が足りないばかりにこんな事になってしまった。責任は私にある。だから…』
『何を弱気になられるのですか!?何も豪帯様まで』
『凱雲!!』
『…ッ』
『…頼む。自らの子を人質に出す私の気持ち…察してくれ』
『…』
あの凱雲も自分の主に言われては背けまい。
いい気味だ。
『主に言われては方なしだな?凱雲』
『…ッ!!』
『凱雲!!』
『…』
おうおう怖い怖い。
『なら早速彼奴を連れてこい。長くは待たん』
『…直ちに』
『…私は兵糧の準備をしてまいります』
奴らは各々が別々の方へと向かった。
きっと凱雲はこの後自分を責めるのだろう。
ざまぁねえな。
関の二人が居なくなるのを確認する。
さて…もう一つ確認せねばならない事を確認するか。あ'
『黄盛』
『は、はい。ここに』
『貴様、手を抜いたのか?』
『!?も、勿論にございます!あの様な田舎の一武官なんぞに遅れは』
ドカッ
『ウグッ!な、何をされますか!?』
『貴様!何故手を抜いた!』
『そ、それは…』
『もし次に奴らに手を抜いてみろ!その時は昇進の話
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