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〜烈戦記〜
第七話 〜前哨〜
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ない』
『わかりました』

『お前ら何をこそこそしてんだ!出陣準備だ!』
『直ちに!』

これでいい。
今本当の事を伝えれば今後も凱雲を頼みに問題を起こしてしまいかねん。
この一件が終わるまで耐えてくれ。





『黄盛!』
『ここに!』
『兵に伝達しろ!目標は荀山麓の賊だ!』
『了解にござ…ん?荀山の麓でございますか?』
『あぁ!そうだ!何か不満か?』
『い、いえ!滅相もございません!ただ、私はてっきり蕃族を狩るものと…』
『いずれ狩る!その前に荀山だ!』
『…しかし、あの様な場所に賊とは』
『?何かおかしいのか?』
『はい、荀山であればまだわかりますが…確か麓には村しか無く、賊が身を隠す場所などはなかった気が…』

あいつら…。

『豪統!』

準備に向かう豪統を呼び止める。

『?なんでございましょう?案内役でしたらこちらですぐに…』
『本当に荀山麓に賊はおるのか?』
『それは…』

豪統は言葉をつまらす。
まさか俺を騙そうとしたのか?

『貴様…まさかこの俺に嘘をついたのか?』
『い、いえ!そんなことは決して!』
『なら何故貴様は』
『賊は確かにございます』

またあの忌まわしい声が聞こえた。
だが、今になってはもう恐るるに足らん。
何と言っても俺には今黄盛がいる。

『凱雲…確かこの話をしたのも貴様だったな?』
『はい』
『では聞こうか。もし麓に賊がいなかった場合、どうやって責任をとる?』
『私の首を差し出しましょう』
『何?』
『が、凱雲!』

賊がいるのは確かなのか。
…ならなんで豪統は言葉を濁らす?
まさか賊に情があるとは言わんだろ。
ならなんだ…。

『では賊がいなかった場合はこの黄盛が直々に貴様の首を』
『まて』

だがまぁ、この後におよんで理由なんかは知ったことじゃない。
だがな、凱雲。
考えてみれば、この関に来てからは貴様の上手いように言いくるめられてばかりだ。
それが気に食わん。
その仏頂面…引っぺがしてやる。


『お前のような死にたがりの首なんて価値ねぇよ』
『…では何がお望みか』
『そうだな…。なら豪帯でどうだ?』
『!?』
『な、何を言われますか!』

豪統は何時もながらの反応だが、凱雲…貴様の驚き顔はなんて愉快なんだ。
思わず口元が歪む。

『そうだそうだ、案内役ついでに奴を出せ。もし賊がいなければ即刻首を刎ねる』
『洋班様!息子に手をかけるのだけはお許し下さい!まだ息子はこの関に来たばかりで満足に判断できる状況じゃ』
『何慌ててんだ?嘘偽りさえなければ息子の首など刎ねんわ』
『しかし…ッ!?』

黄盛が再び豪統に歩み寄る。
だが、その間に凱雲が二人の間に
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