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〜烈戦記〜
第七話 〜前哨〜
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『凱雲の強さ見せてやれ!』

思わず叫んでしまう。

『…』

だが返事は返ってこない。
きっと手合せに集中したいのだろう。
そう思い僕は、はやる気持ちを自分の中に押し込めた。

『始め!』

そして洋班の掛け声と共に二人の手合せが始まった。





結果は呆気ないものだった。
洋班の掛け声の元、黄盛が凱雲に飛び掛かった。

二人の棍がぶつかり合う。

そして両者は数合打ち合った後、対峙側の棍を弾く形で勝負がついた。



だが、宙を舞った棍は凱雲の得物だった。





『…え』

僕は言葉を失った。
今目の前で起きたでき事が信じられなかった。
あの夜に賊を得物事真っ二つに斬り裂き、返り血を浴びても尚凛として月明かりに照らされながらその場を支配していた不動の偉丈夫は今、荒々しいく髪を乱した余所者の猪武者を前に尻餅を付き首元に棍を突きつけられていた。

僕の中で何かが崩れた。



『しょ、勝負あり!勝負あり!黄盛!良くやった!』
『ふ、ふはははは!当然にござる!』
『…』

『…なんで』

そんな言葉が漏れてしまった。

『見たか!?見たか豪統!!俺のの黄盛が勝ったぞ!!』
『…ええ。そのようで』
『所詮凱雲なんぞ見た目ばかりの田舎武官じゃないか!はははははっ!』
『…』

父さんを挟んだ隣では洋班が興奮しながら父さんに好き勝手言っている。

悔しい…。
今まで頼りにしていた人間を目の前で貶される。
しかも…それに反論する事もできないなんて。

不意に洋班と目が合う。

『豪帯!』
『…ッ』
『貴様らの頼みの綱が俺の黄盛に負けたぞ!どうだ!?悔しいか!?え!?』
『クッ…!』

飛び掛かりそうになるのを拳を握りながら必死に堪える。
目のやり場を無くして咄嗟に凱雲の方を向く。

『…お見事にございます。完敗でござる』
『はっはっはっ!気にするな気にするな!お主も十分に強いが相手が悪かっただけじゃ!』

見なきゃよかった。
凱雲は黄盛に頭を落としていた。

『はははっ!おい聞いたか!?"完敗"だとよ!はははははっ!』
『ッ!』
『た、帯!』

僕は耐え切れなくて走り出していた。





『帯…』
『はははっ!あいつ耐え切れなくて逃げ出しおったぞ!』

帯はそのまま街の中へ走っていった。

『…すまん』
『豪統様』

後ろから凱雲に呼ばれる。

『申し訳ございません。負けてしまいました』
『よい。良くやってくれた』
『…お気づきでしたか』
『何十年そなたの主をやっていると思っとるんじゃ?』
『豪統様にはかないません。…豪帯様には?』
『今は伝えるべきじゃ
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