第七話 〜前哨〜
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ませ。そして今出れば野営は必須でしょう。ですので朝までに後続部隊が兵糧などを用意し合流。その後に賊に当たるのは如何でございましょう?』
『…むむ』
洋班が黙り込む。
僕も含めてまさか凱雲が洋班に対して妥協案を出すとは思いもしていなかった。
『そんな簡易な案で事が成功すると思っておるのか!』
『では黄盛殿には他に案がおありで?』
『グ…ッ!』
この人はなんなんだろうか。
折角凱雲が出した案に文句を言う。
しかも何か考えがあったわけではなさそうだ。
そんなに洋班にいいところを見せたいのか。
『…それで進めろ』
『なっ!?洋班様!?』
そして洋班はこれを受け入れる。
『こいつの案なんて聞かなくてもなんとか…ッ!』
『お前に考えがねぇのはもうわかってんだ!引っ込んでろ!』
『…クッ!』
『…それでは我々は準備に取り掛かりま』
『おい待て』
凱雲が呼び止められる。
今度はなんだ。
『…なんでございましょう』
『お前、準備の前にここでこの黄盛と一騎打ちしろ』
…なんだって?
『…急に何を言われるか』
『いやいや!ただ純粋にお前とこの黄盛のどちらが強いのかを知っておきたくてな!』
『…』
この関で1番腕が立っていたのは凱雲で、その事が洋班の行動を抑止していた。
だからこそ洋班はそれが面白くなくて、この黄盛と凱雲をぶつけたいんだろう。
黄盛が勝ちさえすれば今度こそ自分が優位に立てると思って…。
だが、凱雲が負けるはずがない。
この関に来る時の賊の一件で既に凱雲の強さは目の当たりにしてる。
確かにこの黄盛という男も凄みはあるが、あの夜の光景を思い出すと凱雲が負けている姿なんて想像できない。
多分思惑に気付いている凱雲はどうするのだろう。
『凱雲…わかってはいると思うが、このような無用な事を受ける必要は』
『よろしい。お相手いたそう』
『凱雲!』
『そうだ!そうじゃなくちゃな!おい!北門前を空けろ!』
父さんが止めるのを聞かずに了承する。
凱雲良く言った!
父さんには悪いが、僕としては洋班達が鼻を明かされるところを見てみたい。
『豪統様、ご心配なさらずに』
『…むむ』
それから僕らは急遽北門前から兵士達をどけて場所を作った。
『勝負は一本だ。二人ともわかったな?』
『異存はござらん』
『ワシもじゃ!』
二人はその中央で対峙した。
『黄盛!』
洋班が叫ぶ。
『…恥をかかせてくれるなよ?』
『お任せください洋班様!徐城一のこの黄盛の怪力!特とご覧あれ!』
何が徐城一だ。
こっちは父さんと一緒に戦時代を生き抜いた凱雲だぞ。
お前みたいな目立ちたがりなんかに負けるか!
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