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〜烈戦記〜
第七話 〜前哨〜
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りました。私はここの関を任せられております豪統と申します』
『うむ、ワシは黄盛じゃ』

派兵団の先頭で馬に跨っていたのは如何にも猪武者という様な人だった。
顔はゴツゴツしていて赤黒く、眉毛は太く釣り上がり、顎にはビッシリと固そうな髭が生えていた。
おまけに目はギョロリとしていて体格は凱雲に引けを取らない程ずっしりしていた。
…強そうだ。
だが。

『徐城よりの長旅、お疲れ様でございます』
『はははっ!何々、この程度で疲れるワシでは無いわ!』
『それはなんとも頼もしく…』

失礼な気はするが、凱雲と比べると知恵に欠く気がする。
凱雲を偉丈夫とするなら彼は巨躯の怪物と言った所だ。
今の父さんの言葉だって、何もこの人一人に対して言った訳じゃない。
この人の後ろにいる兵士達も含めての言葉だ。
現にこの人は気付いていないのか、兵士達の顔には"やっと着いた"と書いてある。
そりゃ徐城と言えばこの関の所有する都市ではあるものの、距離としては相当な道程になる。
どちらかと言えば徐城自体が烈州では僻地という扱いがされていて、この関に至っては更にその最奥に位置する拠点だ。
所謂領土ではあるが、半ば連携が取れきれない距離にある拠点なのだ。
そこへ徒歩で歩かされたのだ。
疲れない訳がない。
たが馬に跨ってここまで来たこの男には分からないようだ。
凱雲とは比べられないと思う。

『して、洋班様はどこにおられか?』
『はっ、政庁にて黄盛様を待っておられるかと。今遣いを出しておりますのでもうしばらく…』
『そうか。では私達はこのままここで待たせてもらおうか』

さっき父さんに気を使われたのに気を良くしたのか、疲れていないという事を示したいのか馬も降りずに待機すると言う。
勿論、後ろの兵士達は皆立たされたままの状況だ。
一言休めと言ってやればいいのに。

『豪統様、水の手配ができました』

いつの間にかいなくなっていた凱雲が部下を数十人引き連れて来た。
みんな手には水が入っているであろう壺が持たされていた。
その様子を見ていた後ろの兵士達の顔色が変わる。

『うむ。黄盛殿、只今水の用意ができました。もしよろしければ水の一杯でもいかがですか?勿論黄盛殿が許して下されば後ろの兵士達の分までご用意しておりますが』

そう言うと兵士達の中で安堵の空気が一斉に流れ、静かなどよめきが起こる。
やっぱりみんな疲れてるんだ。

『…豪統殿、余計な気は使わんでくだされ』

だが、黄盛という男はこの行為が気に入らなかったようだ。
さっきまでと打って変わり如何にも不機嫌そうな顔をしている。
後ろの兵士達の間でさっきとは違うどよめきがおこる。

『静まれ!!』
『…っ!』

しかし、黄盛の怒号で一気に静まり
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