第十一話「死霊使い(ネクロマンサー)」
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タチカゼは遥か眼下に見える居城を見下ろし、日の光が城全体を包み込むのを待っていた。
「神か、俺には神の事などわからないが、俺はあきらかに救われた。ならば信じてみるのもよいかもしれん。神よ、今一度、その名のもとに我に力を与えよ!」
タチカゼは天馬の手綱を力強く打つと城の中庭へと急降下した。
城内に人の気配はなかった。
見回りの兵士もいなく、馬鹿に警備が手薄だ。
「警備兵もいない城をここまで、どうやって奴は守ってきたのだ」
しかしタチカゼはすぐにこの城の以上なことに気づく。
やけに墓地が多い。
そしてところどころにどくろとなった戦士の骨が剣と一緒に点在している。
これは?もしかして。
タチカゼがこの城の仕組みに気づいたときはもう遅かった。タチカゼが城の噴水近くに足を踏み入れるとカチリと音がして矢がどこからともなく降ってくる。
タチカゼは、剣で薙ぎ払ったがそれがスイッチになりこの城の仕掛けは動き出した。
城の内部が大きく揺れ、何かが地面を伝っていく。それは血だった。そうおそらく伯爵の血だろう。あの不死の血にはなにか恐ろしい力がある。そう踏んでいたタチカゼは、弓に矢をつがえ物陰に隠れて様子を見た。
そして事は起こった。血が墓地や戦士のどくろに細い溝を伝って流れるとそこからは腐った血肉を持ったあるいは骨格だけの戦士がむくりと起き上がったのだ。スケルトンという骸骨剣士だ。
そして次には空中にゆらゆら揺らぐ幽霊の登場。かれらは昼間現れないはずなのにその姿は朝日を透過して存在していた。そう、ゴーストだ。
「なんてことだ。さしずめ、死霊軍団といったところか?伯爵は、ネクロマンシー(死霊使い)の術が使えるのか」
そうこうするうちにゴーストたちが空を滑空して襲い掛かってくる。
「霊体を斬る……か」
しかし今は、迷っている暇はない。
タチカゼは真打ち「星流れ」を抜いた。
そしてゴーストたちの体当たりを流れるようにかわして、構わず斬りつけた。
ゴーストたちは、けらけらと笑ってどうだ?そんなもの食らうかと言わんばかり舌を出した。
だが、その半身はすっぱり消えてなくなっているのにあわてて気づく。
そして傷口から煙がでてそのまま蒸発してしまった。
「そうか、この太刀、退魔の力もあるのか。頼もしい」
するとゴーストたちは完全におびえ始めた。
だがまだ、スケルトンとゾンビたちが残っている。そうなのだ、もはやタチカゼは数百はいるその死霊たちに囲まれていた。
「生前はさぞ名のある剣客だっただろう。おれがあの世に送ってやろう」
「星流れ」は斬撃の時青く光る。それが相手をひるませる。青く光る剣がゆらゆらと揺れて剣の間合いをあいまいにし、そしてひとたび、打ち掛かれば彗星が尾を引くようにその軌道を青く残す
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