ALO編
episode6 彼女の想い
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かなきゃいけないことがあって、ですね、」
「そっか。そう、なんだな」
「ご、ごめんなさい! 一緒に行けなくて、ご、ごめんなさ、」
「モモカ」
必死に言葉を紡ぐ……泣きそうな声を、遮る。後ろから、その頭に手を置……こうとして身長差を思いだして、小突くに留める。「アイたっ!?」の声を無視して、さらに小突く。全くこいつは、何をこんなにビビってるんだよ。
まさかとは思うが、こいつは。
「おいモモカ! てめー、俺達がこんなことで、モモカのこと嫌いになるとでも思ってるのか? モモカは、モモカだ。俺は一緒にアルヴヘイム中を旅して、一緒に笑いあったモモカのことをよく知ってる。よく知っている……が、俺はモモカの全てを知っているとは、思ってない」
「……!」
「友達だろうと仲間だろうと、話せないことだってあるさ。モモカもそうだったんだろ? ……俺だって、話していないことなんて山ほどあるからな。だから、そんなこと気にするな。俺は、モモカが一緒にいると楽しい奴だって知ってる。それで、十分だ」
「……っ……」
「だから、頑張って行って来い。俺は、俺で何とかするさ」
「……うん……う゛んっ……!」
モモカの、涙声。そのまま何度も頷く頭を、もう一発小突……こうとしたところで、いきなり振り向かれた。驚いて固まる俺の体が、いきなり抱き締められる。桜色の天使の……いや、モモカの、嗚咽を耳元に感じながら、俺はその体をそっと支えた。
ほんのわずかに、胸の疼きを感じながら。
◆
―――帰ってきたら、話しますね。全部、話したいですから。
それだけ言い残して、桜色の天使は去って行った。その顔はまるでアイドルのように凛としたもので、思わず見とれてしまうだけの美しさがあった。そして、人を笑顔にする、強烈な魔力も。そういえば「彼女」にもそんな力があったな、とふと思う。
「あの子、ここしばらくはログインしてなくってね。トラウマ、なってたのかな、やっぱり」
「最初はふつ〜に歌って、ふつ〜に踊ってさ〜。でもあの外見だからね〜」
ネット内歌手。一世を風靡し、全ALOツアーまで行ったことがあるほどの有名プレイヤー。しかしある日、ライブの最中に白熱した異種族ファンたちの乱闘騒ぎより会場で死亡者(勿論、「ゲーム内での」、という意味に過ぎないのだが)が出るほどの騒動を最後に、表舞台から姿を消した、そんな悲劇の歌姫。
それが俺の聞いた、サクラヨシノのというプレイヤーだった。
「吃驚したよ。久しぶりにリアル電話来ていきなり『助けて!』だもん。でも私は嬉しかったよ」
「あたし寝てたけどね〜。たたき起こされちゃったよ〜ははは〜」
モモカのバンド仲間だという一緒に演奏していた二人は、そう
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