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ALO編
episode6 決戦、空飛ぶ狩人2
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。俺のほうに関していうなら、ここで負けて「死に戻り」すればその損害はかなり甚大だし、何よりアルンでのシルフ・ケットシー連合軍の進軍に間に合わなくなるかもしれない。

 しかしそれでも今この戦いは、システムにも……そしてお互いにも許された、そんな戦いだった。

 相手は、俺を倒す権利を持ち、俺もそれを理解している。
 俺もその相手を迎え撃つ権利を持ち、相手もそれを理解している。

 戦闘のあとに握手できる……かどうかは分からないが、それでもそんな、ある意味潔さのある戦いだった。誰にも、何物にも気を使わない、全身全霊を込めた対人戦闘。これこそがALOの売りであり、そして俺が長い間忘れていた、「MMORPG戦闘の楽しみ」だった。

 「はああっ!!!」

 戦闘は、圧倒的不利の状況。

 ……まあ、当たり前だ。いくら俺が乱戦に習熟していて、ここが針葉樹の生い茂る遮蔽物だらけの地で、主戦場が地上という俺に有利な条件が揃っているとはいえ、それでも流石に二対三十の戦局が覆るはずがない。

 もっとも。

 「ぐあああっ!!!」
 「くっ、こいつ、《短縮詠唱》持ちだ、魔法使い(メイジ)だからって油断するな!」
 「ちっ、短杖(ロッド)、か!?」

 戦闘開始から五分が経過してなお、まだ二人が生きている段階でかなり善戦していると思われる。

 ブロッサムは、驚くほどの戦闘力を見せつけていた。流石に俺のように縦横無尽に飛び回って、とまではいかずに木を背にしているが、その手の《|預言者の双玉短杖(プロフェットツインロッド)》を棍の様に操って敵と切り結び、一瞬の隙をついてのショートカット詠唱で吹き飛ばして硬直(スタン)を与える。

 その動きは、とてもメイジとは思えない。
 前衛戦士……それも、長年の経験のあるものの戦いと言えた。

 「回復がいないってのは、ナメてんのかっ、なっ!」
 「フン、血の気の多い奴ばっかなのよ、ウチのギルドはっ!」

 木々の間を飛び回りながら突き出されたクローをすれすれのところで避わすが、こちらの拳もぎりぎりのところで避けられてしまった。そのまま半回転して横の木を足場に視線をやれば、相手も全く同じ動作でこちらを見据えていた。

 ……この猫目女、出来る。

 SAOでも鉤爪を使うMobは存在したが、ここまでの練度のものは初めてだ。木々の間を跳びまわって敵メイジの詠唱を阻害する俺を追随し、隙をついて斬り裂こうと腕を振う。一撃の威力こそ大したことは無いものの、ネコ科もかくやという勢いでの乱戦への持ち込みの上手さは、俺に勝るとも劣らない。

 「ぐあっ!!!」
 「くそっ、ちょこまかとっ!!!」
 「下手に飛ぶな、狙い打たれるぞっ!」

 敵さんもやはり名うてのPK集団……
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