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ソードアート・オンライン 奇妙な壁戦士の物語
第三話 前・ボス攻略戦
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は平気やけど、他のプレイヤーはなぁ・・・・・・」

 子ボルド王からの経験値を見てみるが――酷いものだ。経験値がご丁寧に、たったの1しか取得出来ていない。

 つまり、この階層でのボスの取り巻きを使った効率の良いレベリングは禁止されたも同然だ。

 ドロップ品を見てみると、《メイルオブブラッディ》という名前の鎧装備をドロップしていたが、今はそんなものの性能を見ている暇はない。

「とにかく、今は早うこの情報を伝えなアカン」

 優先順位を考えて、即座にコボルド王に《アヴォーヴ》を繰り出していつ通りスタンをさせようとしたのだが――

 カキィン! という甲高い金属音が鳴った。見てみると、今まで必ず当たってスタンをさせていた《アヴァーヴ》が、敵の骨斧(こっぷ)によって弾かれたのだ。

「――ッ!」

 弾かれても何とかその勢いを利用して一回転からのもう一度《アヴォーヴ》を繰り出すが、これは左手に構えていた革盾によって防がれる。

「スタン対策は万全――っちゅうことか!」

 これでは、ジリジリと後退しながら逃げるか、大きな隙を作って逃げる他に選択肢はない。

 予備動作をした素振りも見せず、ライトエフェクト(ソードスキル発動の瞬間から終わりまでに攻撃する部位が光る現象のこと)による軌跡すらも描かず、少年の《リニア―》が走る。それはコボルド王の骨斧を弾き、そこに数瞬の隙を生むことに成功。

 少年はその隙を利用してすぐに戦線を撤退。背を向けて一目散に逃走し、ボス部屋の二枚扉をすぐに閉める。

(――あっぶないで。何や、あの防御成功率。《アヴォーヴ》だけの対策やと思いたいけど・・・・・・)

 もしかすれば、予備動作及びライトエフェクトを発する全ソードスキルに対応している可能性だってあり得ないことではない。

 このまま進めば、恐らくボス攻略組は全滅するだろう。いや、確実にする。イレギュラー要素が多すぎ、戦線を保つこと自体が不可能だ。

 そうと決まれば、話は早い。ボス攻略組にこんな序盤から退場してもらうのは、監視役として看過できない事態だ。そんなことになれば、これ以降ボスを攻略しようとする者が居なくなる可能性すらあるのだから。

 元来た道――つまり塔を出て《トールバーナ》まで一度帰り、自身もボス攻略組の仲間に入れてもらい、その後すぐに情報を提供する。そこまですれば、後は全てボス攻略組のリーダーに任せるのみ。

 ポップが復活したのか下級コボルドが湧いているが、全て刺突の一撃で瞬殺しながらダッシュで《トールバーナ》へと戻る。敏捷値に全く振っていないのでお世辞にも速いとは言えないが、それでも十分である。

 そして一分後、ようやく塔の出口が見えてきた。少年は一気にそこから飛び出そうと足に力を
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