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ソードアート・オンライン 奇妙な壁戦士の物語
第三話 前・ボス攻略戦
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一つは、スキルの追加効果に低スタンが付与されていること。

 ボスに背を向けて逃げるのは、正直に言って危険な行為だ。敏捷値に1ポイントすら振っていない少年には尚更で、第一に敏捷値よりのステータスであったとしても、ボスモンスターであるコボルド王から逃げられる筈がない。攻撃を躱しつづける事は可能だが、回り込まれでもしたらそれこそ厄介なのだ。

 だからこそ、《アヴォーヴ》によってスタンを与えて相手が動けない内に即座に離脱、という戦闘方法を取っている。

 また、何故それだけ簡単にHPを削れるのにボスを倒さないかと訊かれれば、答えは簡単。――効率の良いかつ楽な狩場が無くなるからである。

 まったくもって自己中心的な考え方だが、生憎彼はこのSAOの監視役なのだ。言ってみれば半GM(ゲームマスターの略)。GMがボスを倒してしまう程つまらないゲームは他にないというものだ。興醒めもいいところである。

 ボス部屋(ボスモンスターの居る部屋の略)から脱出してすぐに扉を閉め、再び塔から降りる。既にこの塔に居たコボルドは狩り尽くしており、再ポップするには数時間掛かるだろう。仮にポップしているのであれば、歌でも歌いながらシャウト判定をもらい、人型モンスター(人型モンスターは例外としてシャウト判定を受けるとそちらに寄ってくる特性がある)であるコボルドを自ら寄せ付けている。先ほどはそれをやりすぎ、ポップが枯れてしまったという訳だが・・・・・・。

「・・・・・・何や、本気で退屈や」

 既にこのループは何十週・・・・・・いや、もしかしたら三桁をいっているかもしれない程に繰り返している。それほど長い間同じ敵を見るのは、本当に退屈なことだった。

 余談だが、マップデータは町で無料配布されていたガイドブックに詳細に描きこまれていた。少年のマップデータは、未だにデリートされたままなのはここだけの話。

「・・・・・・よし、次で今日は最後にしよか」

 次でちょうどレベルも上がる。そう計算して、少年は今日最後のセンチネルループ(命名by少年)をするのだった。










 ――それから二週間と五日が過ぎ、《トールバーナ》では第一層ボス攻略会議が始まっていた。

 男にしては少し長いウェーブの掛かった青髪のイケメン。名前をディアベル、自称ナイトの青年は爽やかすぎるほどの笑顔を浮かべて攻略会議を進めていく。主には士気を上げる事を目的としていたのか、最初は言葉によって集まった四十四人の士気を鼓舞する。

 途中でサボテン頭ことキバオウというプレイヤーがβテスターに対して謝罪と賠償を口汚く求めていたが、それを長身のスキンヘッドのエギルという男に反論され、身長の低いキバオウは気圧されて止む無く引くことになる。

 結局
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