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ヱヴァンゲリヲン I can redo.
第壱拾話 6th Angel (First Half)
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「碇」

「ああ、分かっている」

 NERV本部の薄暗い司令執務室。ゲンドウは冬月にそう言うと、立ち上がってサングラスの位置を直す。

 その後ろの窓際では、冬月が下の風景を眺めていた。

「作戦部長の誘拐と時を同じくした第六の使徒襲来」

「ああ、間違いなくSEELEだ」

 十分前、作戦部長葛城ミサトの失踪と同時に報告された第六の使徒襲来。トップ二人は多少驚きもしたものの、ゲンドウは「想定内」と言って焦る素振りも見せなかった。

 ゲンドウと冬月の進めるもう一つの人類補完計画に気づいたSEELEはNERVを切り捨て、NERV/EURO支部を自らの腕として手なずけていた。ゲンドウは、まだ時折SEELE幹部との会議には出ていたものの、全ての使徒殲滅が終われば、即座に国連軍が第三新東京市に攻め寄せる事ぐらい分かっている。

「SEELEの狙いは葛城作戦部長か…? しかし俺は彼女の作戦統率能力は物足りないと思うが。狙いは別に…」

「いや、老人の狙いは彼女で間違いないだろう。経験さえ積めば彼女も優秀な指揮官になる。しかもNERV本部内の情報を探らせるのにも、彼女ほどのランクがあればうってつけだ」

「どう対処する? 戻ってきたら粛清か?」

「そんな勿体ない事はしない。こちらも十分利用させてもらう」

 ゲンドウはそう言うと、なおも姿勢を崩さずに窓の外を眺めていた冬月の方に向き直る。

「行くぞ、冬月。今回の戦闘、私が直接指揮を執る」

 その言葉に、冬月が目を大きくして振り返った。ゲンドウはにやりと笑う。

「NERVトップの能力を甘く見られては困りますからね、そうでしょう、冬月先生」

 ゲンドウは、今までの様な影のある笑顔ではなく、素直な笑顔を見せて司令室を後にした。

 簡易エレベータの上がる音が微かに響く。天井に開いた穴を見て、冬月も笑った。

「ハハハ…人を人として生かす。その事に価値を見出したな、碇」

 冬月は司令室の戸を出て、徒歩と一般エレベータを使って発令所に向かった。








 此処は何処…

 真っ暗…何も見えない…

 人の気配もしない…

 空気が冷たい…


 彼女は本能的に恐怖を感じ、胸から下げる十字架のペンダントを握りしめる。

 椅子に座っているようだったが、周りは何も見えない。真っ暗、ぼんやりとした微かな明かりさえもない。


 私、いつの間に…

 記憶を辿る。リツコが部屋にやってきて話して…珈琲を飲んだとたんに…

 取りあえずここから出ないと…


 手を伸ばして何かに触れようとした。しかしそこにあるのは空気だけ。

 彼女は、ジャケットの内ポケットに仕舞っていた拳銃を手
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