第壱拾話 6th Angel (First Half)
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。
使徒はすかさず、ガトリングガンのようにビームを乱発する。初号機はそれから避けつつ、使徒を中心に円状に走りながら使徒に接近する。街の到る所で煙が上がった。
ビルの蒸発した白煙だった。
湖上の使徒まで後300m──。
ここだ…!
初号機がそれまでの曲線的な軌跡を、直線的に変えた。使徒に向かって真っ直ぐ駆ける。使徒は狙いを定めて、何度目かもわからないビームを放った。
しかしビームはまたもかわされた。着弾寸前で紫の巨人は宙を舞い、八面体の直上から襲いかかる。使徒は咄嗟にA.T.フィールドを張ってそれを受け止めた。加圧を受けたA.T.フィールドが軋みながら発光する。
「初号機、フィールドを展開中…しかし…」
「位相空間が安定していない…」
リツコが手元の画面を見て言った。
使徒のA.T.フィールドは常時その形を変化させていた。これが意味する事、それはフィールドによるフィールドの中和の事実的不可能である。
「使徒のフィールドは、それと全く同じ性質のフィールドによって中和される…」
「しかしこれでは…初号機のフィールドとの数値が違いすぎます」
しばらく押し合う初号機と使徒。しかし遂に使徒が動いた。
発令所のマヤの席のモニターが警告音を発する。
「目標に高エネルギー反応!!」
「シンジ!!」
使徒が不意にフィールドを消し、零距離で初号機にビームを食らわせる。初号機は遠くの山まで吹き飛ばされた。
「パイロットの状態は!?」
「気絶してます!!」
「すぐに起こせ!! じゃないと!!」
「目標内部に再び高エネルギー反応!!」
「いかん!!」
冬月の叫び。
使徒がその八面体の形を変える。星のように開き、何度も展開してエネルギーを限界まで集め、山に向かって今までにないほどの強力なビームを放つ。
山が吹き飛ぶ。
第三新東京市が光に包まれ、主モニターも真っ白になった。
「初号機の状態は!?」
「ダメです、音信不通。存在の有無も確認できません!!」
「A.T.フィールドは限界まで展開の命令を送っています。しかし…」
「アンビリカルケーブル融解!! 内部電源に切り替わります!」
発令所が悲壮感に包まれた。
少し遅れて届く轟音と揺れ。それは発令所の重たい空気と共に、永遠に続くようにも思えた。
「使徒、攻撃を中止した模様。映像が回復します」
真っ白だった画面に、徐々に変わり果てた第三新東京市の町並みが映し出される。
黒く焦げた地面、ビームの通った後のその場所には、建物など一つも残っていなかった。金属の蒸気を含んだ湯気が上がり、初号機の倒れてい
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