第壱拾話 6th Angel (First Half)
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流れ込む。
嫌な感覚。血が自分の中に流れ込むような感触。
できれば味わいたくない、しかしあの赤い世界よりはマシだった。
やるっきゃないか──。
もう一度、あの光線の苦痛に耐える事を覚悟したシンジ、そんな時、発令所から一本の通信が入った。
相手は…父だった。
「父さん…」
心拍数が上がる。しかし体が本能で焦りだすのとは裏腹に、頭の方はいたって冷静だった。
何を話すのだろう…好奇心にも似た感情。
…………
…………
一時の沈黙が置かれ、ゲンドウが
(シンジ…無理はするな…)
と呟くように、そして感情のこもった声で言った。
回線はそれだけで切れた。
その後、シンジは自分の使命を再認識する。
この世界を変えるという、固い決意──。
「エヴァ初号機、発進!!」
重たい人型兵器を、リニアが不気味な唸り声を上げながら地上に運ぶ──。
同時刻、NERV北米支部
「ハァっ? 今からS?機関のテストですか!?」
サトミが素っ頓狂な声で驚いた。隣にいるヨウジは一方、冷静な表情を維持している。
二人の目の前にいる北米支部の支部長は、二人の顔を交互に見てこう続けた。
「そうだ。早めにS?機関の開発が終了したものでな」
「しかし…テストは予定では二ヶ月後では!? いくらなんでも早すぎと思われます…」
「いいや、早すぎでは全くない。君たちのシンクロ率も問題無し、技術部の準備もできている。問題があるとすれば…」
支部長は踵を返す。
「本部の存在意義がだんだんと大きくなりつつある事だな」
廊下に革靴の足音が響く。理事長は鼻で一つ笑って角を曲がって行った。
二人は揃って顔をしかめる。
大幅に崩れた予定、転生者の二人にとっても全くの予想外。
このままでは…自分たちは確実に消え去る。
「サトミ、取りあえず休憩室…」
本部との権力争いを活発化させる支部。
大人な子供達に何ができるというのか──。
「くっ!!」
第三新東京市では、使徒と初号機の戦闘が続いていた。
射出直前、使徒の内部に高エネルギーの発生を捉えたNERV。ゲンドウの「避けろ!!」の言葉に、シンジは初号機の四肢を、射出口の壁で突っ張り棒のようにして、無理矢理にリニアを止めた。
使徒のビームは初号機のいるはずだった空気を切り裂き、街中のビルをあっという間に粉砕する。
瓦礫が宙を舞い、使徒のビームが止まったところで、初号機は停止したリニアの拘束具を引きちぎって外に飛び出した
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