黄巾の章
第17話 「え? 突撃!?」
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馬から跳び上がって、止める間もなく関羽殿の傍で着地。
しかし、そこには大量の矢が降り注いでいた。
その姿に、一瞬血の気が凍ったのだが……
盾二殿は、なにか叫ぶとその体が青く輝いて、関羽殿と張飛殿を包み込んだ。
すると……まるで固い何かにぶつかるように、青い光に矢が弾かれていく。
矢が止むと、光も消え……無傷な盾二殿がその場に立っていた。
「義勇兵よ! 敵は死兵だ! 真正面から向き合うな! 敵は逃げ出そうとしている! あえて道を空けて側面から削れ!」
盾二殿はそう叫びつつ、関羽殿と張飛殿を抱えあげて走り出す。
「馬正! 指揮を頼む! 俺が二人を下がらせるまででいい!」
「承知!」
我が主君の命。
臣として、この瞬間ほど誇らしいものはない。
「我が名は馬仁義! 義勇兵よ、黄巾は三人で一人を殺す、三位一体を得意とする! 先頭の一人は死兵だ! 目標はその後ろの二人目、三人目だ! こちらも三人でかかれ!」
「「「オオオオッ!」」」
義勇兵は、私の言葉に即座に対応した。
即座に三人一組になり、盾二殿の言うとおりに側面から攻撃していく。
流石は、私が完膚なきまでに敗北した主が、調練しただけのことはある。
黄巾の三位一体は、先頭の一人が文字通り命を投げ出して二人目、三人目に殺させる戦法だ。
ゆえに、後方の二人のどちらかを先に倒せば、先頭の死兵の勢いも鈍る。
「殺っ」
「ふんっ!」
私にも三位一体で向かってくる。
しかし、戦法を熟知している私が、その手を喰らうわけはない。
先頭を避けつつ、剣を突き出してきた二人目の胴を、愛剣で切り裂く。
そして、そのまま剣を振りぬきながら、返す刃で三人目の首を刎ねた。
一人目が振り返ると、仲間がやられたことに怯えて、一瞬動きが止まる。
その隙を逃さず、その首をも刎ねる。
「義勇兵よ、恐れるな! 盾二殿や関羽殿の調練どおりやればよいのだ! 私に続けぇ!」
「「「オオオオオオオッ!!」」」
―― 盾二 side ――
「すぐに二人の手当てを!」
俺は敵から離れた場所にいた輜重隊に、愛紗と鈴々を預ける。
「ご、ごしゅじん、さま……」
愛紗は、腕の傷からでる血を押さえもせず、青龍偃月刀を握り締めて立ち上がろうとする。
「いいんだ、愛紗。今は休め」
「いえ、私も……戦いま」
「休め。命令だ」
再度念を押して、空いている荷車に愛紗を寝かせた。
「俺は戻る……二人を縄で縛ってでも治療してくれ」
そう兵に言いつつ、走り出した。
背後で愛紗の、俺を呼ぶ声がした気がしたが……答えている暇はない。
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