黄巾の章
第17話 「え? 突撃!?」
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なにしろここ数日、まともに寝ていない。
その上、食事もあまり喉を通っていない。
正直、眼が霞む……
「死ねぇ!」
「!!」
しまった!
気付いたときには、目の前に黄巾兵の剣が迫っていた。
「ぐっ!」
避けられない、と悟ったとき。
「うりゃあああああああああああっ!」
横から飛び出してきた鈴々の蛇矛が、目の前にいる黄巾の喉を突き刺した。
「鈴々!」
「愛紗……だいじょう……ぶ……」
私が鈴々に振り向くのと、鈴々が地面に倒れ伏すのが同時だった。
「鈴々! どうした! やられたのか!?」
「にゃ、にゃ〜……からだが、からだが動かないのだ……」
怪我はないようだ……だが、ここ数日の不眠、そして食事量からしても、不調なのはあきらかだった。
「くっ……私達は、なにをしているのだ」
思わず自らを殴りたくなる。
私達は武人のはずだ。
武人ならば、いつ如何なる時も、全力で戦えるようにするのが務めのはず……
「関羽様、張飛様! ここは私達が防ぎます! 下がってください!」
古参の義勇兵たちが、私達を庇うように前面に立つ。
本来ならば……本来ならば私が彼らの盾となり、矛とならねばならぬのに……
「早く! 下がってください!」
「ここは俺たちが……ぐあっ!」
「く、こいつら……うじゃうじゃと!」
私達を守るように、周辺の義勇兵が黄巾兵へと向かっていく。
だが、死兵となったような黄巾兵の勢いに、義勇兵が一人、また一人と殺されていく……
「くっ……すまん!」
私は、鈴々を肩へ抱えて、後方へと下がる。
その間にも一人、また一人と周辺の義勇兵が、私の下がった後を塞ぐ盾のように立ち塞がっては殺されていく。
(すまん……すまん……)
心の中で涙を流しつつ、走る。
だが、刹那。
「ぐっ!?」
鈴々を担ぐ反対側の肩に矢が掠めた。
その衝撃で、その場に転倒してしまう。
「くっ……」
私が振り向くと……無数の矢が降り注ごうとして――
(やられる!)
私は咄嗟に鈴々を庇うように、覆いかぶさった。
だが――
「……?」
一向に降ってこない矢。
訝しんで顔を上げると……
「なっ!?」
目の前には青い膜のようなものが、降りしきる矢を弾いていた。
これは……冷たい?
もしかして、氷……か?
「あぶねぇ……危機一髪だったな」
その声が頭上から聞こえてきて――嬉しさのあまり、涙が出てしまった。
―― 馬正 side ――
なんと……私は妖術を見ているのか!?
盾二殿が
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