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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
黄巾の章
第17話 「え? 突撃!?」
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軍は、すでに盾二様が向かっています! 躊躇する間に、敵に突破される恐れがあります! 今ならまだ、霞さんの騎馬隊なら間に合うはずです! 急いでください!」

 切羽詰った朱里の眼。
 その姿は確かに軍師のものやった。

「……わかった! 再度、伝令! 各部隊は迎撃でなく、城内部への突撃! 門から強襲して敵を討ち取る好機や! 急げ!」
「「「ハッ!」」」
「朱里、雛里。ウチは突撃部隊の指揮を取る。本陣は任せるで!」
「「はい!」」

 ウチの言葉に心強く頷く二人。
 さあて……
 うちは馬に跨り、配下の騎馬隊へと号令を出す。

「よっしゃあ! おまえら、いくでー! ウチら神速の董卓軍騎馬隊の強さを、あのケダモノ共に教えたれや!」
「「「オオオオオオッ!」」」




  ―― 孫策 side ――




「本陣より伝令! 全部隊は宛城へ突撃せよとのこと!」
「え? 突撃!?」

 何で夜襲に突撃なんて……

「なるほど。了解した」

 え?
 冥琳、なんでなるほどなのよ。

「めーりん……?」
「雪蓮、これは夜襲じゃない。ただの特攻だ」
「どういうことよ」
「見ろ。敵は何の隠蔽もせず、門も開け放ち、がむしゃらのように突っ込んできている。指揮がある夜襲ならばこんなバカなことはしない」

 えーと……ああ、ほんとだわ。

「これは夜襲に見せかけた捨て駒だ。となれば、敵の将は兵を見捨てたと見るべきだろう」
(くず)ね」

 あそこで立て篭もっていた南陽黄巾軍の将の名は、確か『韓忠』とかいったわね。
 将の風上にも置けない奴だわ。

「どうやら本陣はすぐに看破したようだな。まさに機を見るに敏……これはあの男か?」
「たぶん……ね」

 さすが、わたしが夫にしようと思うだけはあるわね。

「ふむ……少し芸はないが、今は速さがなによりだな。すぐに我々も城へ入るぞ」
「まーかせて! んふふふ……斬ってやるわ」

 ふふふ……ついでに、張勲への八つ当たりもさせてもーらおーっと。




  ―― 馬超 side ――




「本陣より伝令! 各部隊は宛城へ突撃せよとのこと!」
「なんだって!?」

 あたしは、伝令の言葉に耳を疑った。
 この夜襲に対して迎撃だけじゃなく、中へ突撃しろって言うのか!?

「それは、本当に本陣からの命令なのか!?」
「ハッ! 軍師様いわく、これは夜襲にあらず! 将が逃げるための囮とのこと」
「囮……囮だって!?」

 まさか……将が、自分ひとり逃げるために、兵に特攻させているって言うのか!?

「なんてやつだ……許せねぇ!」

 あたしは麒麟に(またが)り、槍を天に掲げた。


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