黄巾の章
第17話 「え? 突撃!?」
[1/6]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
―― 張遼 side 宛 ――
「で、伝令! 南の大手門より、敵の夜襲です!」
「なんやと!」
その報告に、慌てて天幕を出る。
日が暮れてからすでに数刻とはいえ、まだまだ宵の口。
夜襲を仕掛けるにしても早すぎるんとちゃうか!?
「すぐに迎撃や! 休んでいる奴は残らずたたき起こすんやで! 馬超と盾二、それに孫策に伝令! 各個で応戦しつつ、状況を知らせぇ!」
「「「ハッ!」」」
ウチの言葉を受けて、本陣の伝令が各部隊に散ってゆく。
「……にしても、今動いたんはなんでや?」
確かに数万いた袁術軍がいなくなって、数が減ったんはわかる。
しかし、だからといって……篭城もせずに、二万で三万の相手ができるわけがない。
「いや、だからこそ気勢を削ぐため、か……?」
ここから見える宛城の正門は、大きく開け放たれている。
そこから黄巾軍がわらわらと出てきては、前曲の部隊と交戦を始めた。
「……?」
……妙や。
奇襲にしては動きが大きすぎる。
奇襲するならばもっと数も少なく、迅速に、大手門なんぞ開け放つわけが――
「伝令! 西門から夜襲部隊が出てきました! 孫策軍は迎撃するとの事!」
「伝令! 東門からも夜襲部隊が来襲! 馬超隊が迎撃を行います!」
「……なんやと?」
東と西、両方からも打って出るやと!?
まさか、これは……
「霞さん!」
振り向けば、そこには朱里と雛里がおった。
「すぐに全部隊に宛城に突入させてください!」
「なんやて!?」
正気か!?
敵は夜襲を仕掛けてきとるとはいえ、数はまだまだおるはずや。
であれば中にいる南陽黄巾軍は罠を仕掛けとるはず……
「これは夜襲なんかじゃありません……たぶん、向こうの将軍は逃げるつもりです」
「にげ……」
雛里の言葉に唖然とする。
逃げるため?
どういうこっちゃ。
「相手の将軍は、黄巾の雑兵を囮に自分だけ逃げるつもりなんです! おそらくは、こちらの包囲の一番数が少なく脆い、北門から!」
「北門……桃香達か!」
あ、あかん!
あそこはまだ編成が完全に終わっとらへんのや!
北には洛陽がある。
しかも撤収したとはいえ、そう遠くない場所にはまだ袁術軍もおるはずや。
そやから、まさかそちらのほうへ打って出るとは思わんかったんやが……
「なら、北門へ援軍……」
「今から宛城を迂回して、北門へ援軍を出しても間に合いません! それより開け放たれた門から宛城を三方より襲撃して、中から北へ抜けたほうが早いです!」
し、しかし、交戦しとったら間違いなく遅れが……
「北門への援
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ