第16話
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られ、飛び上がらんばかりに驚いた。
俺の眼前には、先程の亜麻色の髪の少女が楽しげに膝を抱えて俺を覗き込んでいる。
「丹下智春君…、だよね?噂の」
「どんな噂かはさておき、確かに丹下智春は俺だ。何か用か?」
少女とは繋がりも無ければ面識もない。完全に初対面だ。なのに、妙に親しげだから面食らってしまう。
「むう、折角こんな可愛い女の子が話しかけてるのに、素っ気なくない?」
「初対面で親しくは出来ないだろう」
「ソレは君の考え。楽しもうと思えば楽しめるんだから!」
そう言って笑顔になる少女を見て、面倒な奴だと思った。こっちは一人になりたいのだ。話し相手なら別の場所にいくらでもいるだろうから、さっさとどっかに行ってくれないだろうか?
「あ〜?面倒臭いって顔してるな〜?やっぱり『マコちゃん』の言った通りの人だ」
「マコちゃん?」
誰?
「マコちゃんはマコちゃん!君もよ〜く知ってる、あのマコちゃん!」
「…。ああ」
妹か。
「ま、仲良くしてやってくれ、俺はのんびりしたいから、お話ししたいなら真琴の所に行ってくれ」
ヒラヒラと手を振り、少女に退去を促す。今は、仲良く談笑する気分ではない。
「…むう。つれないな…。決めた、君の気が変わるまで、ここで待つ!」
「…何ですと?」
「私は君と話したいの。と言うわけで、お隣失礼!」
言うが速いか、俺の返答を待たずに少女は俺の隣に腰掛け、ニコニコしながら俺を見ている。
………何が起こっているんだ。
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それからしばらく、一切表情を変えることなくニコニコし続ける少女と、その視線に煩わしさを感じながらも放置する俺と言う、ある種異様な空間が生成されていた。
「…なあ」
「んん!?なになに?」
こっちから話しかけたら、目の色変えて食い付く。本当に何なんだこの少女は…。
「そろそろ引き上げるけど、どうするんだ?」
「う〜ん…、今日はここまでにしとこうかな。じゃあね、丹下智春君!」
少女は元気よく立ち上がり、そのまま去っていった。自分の思うままに行動した少女に圧倒され、屋上で気分転換をしよう、という目論みは全く果たせなかった。
しかし、そんな事より、
「……名前、最後まで出さなかったな……」
俺は少女が誰なのか、ついに分からずじまいだった。
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戻ってみれば、オルコットと凰がボーデヴィッヒに医務室送りにされて騒ぎになっていた。
経緯を聞けば、オルコットと凰が一夏の休憩中に自分の訓練メニューを消化しようとした時にボーデヴィッヒが現れ、二人を挑発。
二対一の勝負でボーデヴィッヒが二人を圧倒、大勢が決した後も攻撃を続行、止めようとし
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