第百二十五話 独眼龍の上洛その七
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「それを築くぞ」
「誰もが太平に暮らせる世ですな」
成実は政宗の言葉をこう解釈した。
「左様ですか」
「そういうことじゃ、ただ天下を一つにするだけではない」
それに過ぎないというのだ。
「太平楽土にせずしてどうするか」
「そういうことですか。では」
「わしはやる、これまで誰もが築けなかったものを築いてみせよう」
こう話しているとだった、不意にだ。
政宗は右手に茶室を見た、そのうえで青い服を着た五人の者達が店の中にいるのを見てこう言ったのだった。
「ふむ」
「何か」
「うむ、あの青い服の者達だが」
その彼等を見ての言葉だ。
「織田家といえば青だが」
「そしてその青が」
「一体何が」
「あの青が気になる」
こう言ったのである。
「中央のあの細面の者は」
「そういえば只者ではありませんな」
「尋常な気配ではありませんな」
二人もその男を見て言う。
「顔立ちもよいですし」
「しかもかなりの風格です」
「あの者は一体」
「何者でしょうか」
「気になるのう」
また言う政宗だった。
「どうもな、それでじゃが」
「はい、それではどうされますか」
片倉は政宗に問うた。
「ここは」
「会おうぞ」
政宗はその男に関心を持ってそのうえで答えた。
「あの者にな」
「そうされますか」
「うむ、面白そうじゃ」
こう言ってであった、 政宗は二人を連れてそのうえ茶店の中に入った。そのうえでその青い服の者達の前に来た。
そのうえで向かい合いそして言ったのである。
「名のある者じゃな」
「ほう、やはり来たか」
屈強な者、やはり青い服の彼等を四人連れたその男は政宗を見てそのうえで返した。
「来ると思っておったわ」
「わしのことがわかるか」
「そしてそれがわかるというと」
「織田信長か」
「伊達政宗じゃな」
お互いに言い合う、そしてだった。
政宗は信長吐向かい合ったままこう彼に告げた。
「用心は無用じゃぞ」
「周りに気付いておるか」
「蜘蛛の巣が張っておる様じゃ」
周りを見ていないがそれでも言った言葉だ。
「それでわからぬ筈もないであろう」
「ほう、鋭いのう」
「これ位わからずしてどうするのじゃ」
「死ぬというのじゃな」
「そうじゃ」
戦国の世ではそうなるというのだ。
「御主もであろう」
「鋭いのう」
信長は笑みを浮かべて述べる。
「では久助も呼んでそのえうで二階にあがるか」
「そうじゃな、それではな」
政宗も応えそうしてだった。
双方共店の二階に入った、その時に滝川も出て共に入った、そのうえで双方向かい合って話をはじめたのだった。
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