第二十九話 神社の巫女その十二
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「アウトよ」
「うん、僕達もそう思うよ」
「僕達だってそれぞれ名前あるしね」
「ってあんた達名前あったの」
「あるよ、八条町の烏天狗の一族としてね」
「蔵馬系の分家でね」
大天狗が元いたその山から分かれたというのだ。
「蔵馬が姓で名前はそれぞれだよ」
「潤一郎とか修治とかね」
「あと金之助とか林太郎もあるよ」
「そうした名前って」
聖花にはすぐにわかった、彼等の名前の元は。
「作家の名前よね」
「うん、他には作之助とかもあるよ」
「康成とか直哉もね」
実際にそうだと返す天狗達だった。
「修治っていうのは太宰治の本名ね」
「津島修治だからね」
「あっ、そうだったわね」
愛実は太宰の説明から思い出した、太宰治というのはペンネームでありその本名は津島修治といったのである。
「あの人の本名ってね」
「そうよ、それでね」
それに加えてである。聖花が愛実に話す。
「あの人の家は大地主でね」
「青森の方のよね」
「津軽のね」
青森といっても地域がある、津軽や大湊とだ。
「今も親戚の、お兄さんの血筋の人が政治家やってるわよ」
「そうなのね」
「あの人の家は代々政治家でもあるのよ」
太宰の父、そして兄もである。
「娘さんのお一人が政治家の奥さんにもなってるし」
「何か意外ね」
「作家としての太宰とはイメージが違うわよね」:
「かなりね」
「それでだけれど」
太宰の話をする二人に天狗達が声をかけてきた。
「いいかな」
「あっ、先輩よね」
「今お酒飲んでるっていう」
「完全に出来上がってるから」
飲んだ結果そうなっているというのだ。
「注意して会いに行ってね」
「ううん、虎が神社の中にいるなんて」
「しかもここ日本なのに」
日本二虎はいない、それでもだというのだ。
「凄い神社ね、考えてみれば」
「猛虎になってるのね」
「阪神タイガースは結構簡単に負けるけれどね」
天狗達もこのチームの状況については残念そうに語る。
「肝心な時にねえ、いつもいつも」
「すぐに負けるから」
「昭和四十八年だって」
「ヤクルトと争った時も」
「その前の御堂筋決戦とかね」
「天覧試合でもだよ」
愛実と聖花にとっては産まれる前の話ばかりだが天狗達にとっては生々しい今だ、長生きしていると覚えていたくないことも多くなる。
「毎日に選手わんさと取られたりとかね」
「阪神ってそんなのばかりだよ」
「シーズンオフにはお家騒動」
「監督の交代はいつも揉めるし」
「思えば応援していくって辛いチームだよね」
「勝っても負けても華があるから応援出来るけれど」
「お家騒動でも何か華があるからね」
阪神だけである、阪神は何があろうともそれが絵になる稀有なスポーツチームだ。それに
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