第二話 開始早々に迷子です
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、再び《リニア―》、刺突、現実で使っていた平突きと3種類に分けてネペントを屠り続ける。
結果、ネペントからの攻撃は全て即死級の迎撃で返り討ちにし、腐食液噴射の予備動作が見られたらすぐにそちらも倒した為、戦闘時間は約3分強に及んだにも関わらず、少年のHPゲージは依然として1ドットも減ってはいなかった。
精神的な疲弊はあるが、それでも肉体的なものではない。自分にそう言い聞かせながら、少年は自分の心を鬼にして今居る森も颯爽と駆け抜ける。
以降、その森ではモンスターに遭遇しなかった。既にポップを枯らしてしまったのだろう。そうでなければ説明がつかない。
ガイドブックを見ながら道を進む。既に獣道に入っている様な気もするが――それもまだマップ内。しかもショートカットルートである。いくら獣道とて時間を無駄には出来ず、結局《トールバーナ》に到着したのはおよそ3日半。その上にモンスターが居るところでおちおち睡眠や休憩をすることが出来ず――不眠不休というよりハードな条件で到達するはめになった。
「・・・・・・やばい。何やもう頭が痛いで・・・・・・」
熱中症にも似た症状にふらつきながら、少年は宿を借りて硬いベッドに横たわる。この3日半の間、不眠不休で別の街まで辿り着いたのはとんでもない収穫だ。
しかし、こんな疲労感はもう2度とゴメンである。3日間ずっと目の前に現れるモブを瞬殺したことによりレベルは13にまで上がったが、これ以上は精神的におかしくなりそうだ。
少年は硬いベッドの上で静かに目を閉じ、睡眠をとるのであった。
「・・・・・・やけにモンスターのポップが枯れてるな」
黒髪の皮装備にレザーコートの盾無しの片手剣使いがそう呟いたのは、いつの事だったか。
ソードアート・オンライン正式サービス2日目。ありとあらゆる場所でモンスターのポップが枯れるという前代未聞の事件が起きた。
βテスターもそうでない者も、これには頭を悩ませたが、いずれにせよ犯人は不明。
一時期、フィールドを爆走する細剣使いが見られた時間帯からモンスターのポップが枯れたという噂もあるが、流石に現実的な問題として不可能と考えたのか、その噂は尾ひれがついていると誰もがそう認識していた。
同時期、一人の少女に飛び込み土下座をする謎の男を目撃したという事件も発生したが、先にあった事件によりこちらはあまり公にはならなかった。
先の噂が真実だと知る者は――ある一人の人物を除いて、誰も居なかったのだった。
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