第二話 開始早々に迷子です
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く。
目の前に広がるは、今日の夕暮れ時に大騒ぎになった始まりの町の中央広場である。流石にゲームマスターに抗議しても何も変わらないと分かったのか、冷え切った夜の広場にはショックから立ち直れない者、野宿をする者を除いて他には誰も居なかった。
「・・・・・・とりあえず、今日はここで寝ればええんかな」
正直に言うと、宿に行って寝るだけのコルがもったいない。圏内(街の中)では《犯罪禁止コード》も働いている為、HPは1ドットたりとも減りはしない。故に、最低限の安全は確保されている筈だ。
よって、少年の野宿は決定した。
近くにある噴水に背中を預け、そのまま目を瞑る。今日はいろいろあって疲れてしまった。そして、明日はしっかりと誰かに道案内を頼まなければならない。道に迷って半日遭難など、もう二度とゴメンである。
そうして、彼は眠りについた。波瀾万丈の一日目は、こうして幕を閉じたのだった。
「誰か、次の町までの案内頼めませんか〜? 報酬は千コル、命の保証はします! 戦闘は全部引き受けますんで、誰かお願いします!」
と、朝6時から目を覚ました少年はすぐに中央広場で呼びかけを始めた。昨日の二の舞はゴメンなので、最低限次の村などに移動する時だけは案内役を立てようと思ったのだ。余談だが、マップデータは未だに表示できない――というかデリートされたままである。
道行く人々――というか座っている者達は、少年の声が聞こえないかのように静まり込んでいる。きっと、これがデスゲームだと知ってしまった為に与えられたショックの大きさなのだろう。一日経ったというのに、まだ回復しきれていないようだ。
ここで募集しても無駄か――そう思い、少年はまた別の所で募集しようと中央広場を出て街を散策する。
しかし、このSAOの《はじまりの街》の広さは浮遊城アインクラッド基部フロアの約2割(東京都の小さな区1つほどの大きさ)という、とてつもなく広い街なのだ。
そんな広大な土地の中で案内人を探すのだから、これはもう苦労どころの問題ではない。
そもそも、案内人となる人物は恐らく既にパーティーを組んで出発してしまっている筈だ。初めから前提条件そのものが間違っていたのかもしれない。
「・・・・・・なんや、時間が勿体ないな」
現在時刻は朝の9時。既に起きてから3時間も経っているのに、一向に案内人を名乗り出てくる者は居ない。試しにβテスターっぽい者に話し掛けるも、あっさりと断られてしまう。
(・・・・・・しゃあなし、か。何か団体でも作成して、信頼までとはいかなくとも、信用を得られるくらいにしとこか)
考えて路地裏に一度入り、右手を下にスライドしてメニュー画面を開き、コミュ
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